第18回都草通常総会を開催(2024.5.27)
第18回都草通常総会を開催(2024.5.27)
5月27日(月)、NPO法人 京都観光文化を考える会・都草の第18 回通常総会が、京都府庁旧本館旧議場で開かれました。
通常総会第一部の特別講演を楽しみにしておられる会員も多いと思います。
今年は、江戸時代の「京都御苑」と題して、京都市歴史資料館に長年勤められた伊東宗裕氏にお話しいただきました。伊東氏は現職時代に、江戸時代を通して出版されたさまざまな内裏図を一冊の本にまとめた『内裏図集成』の刊行に携われました。古地図や内裏図をたくさん調査してこられたなかで、京都御苑の歴史は「京都御苑史」といってよいほど特別のものであるようです。
以下、講演の要約です。
京都御苑は環境省が管理する国民公園で、その中に宮内庁が所管する京都御所と仙洞御所、内閣府所管の京都迎賓館が含まれていることはよく知られているところですが、この「京都御苑」とよばれる地域は、江戸時代からどのような変遷をたどってきたのでしょうか。
京都のガイドブックや歴史解説書の中には、「京都御苑」は「公家町」があった場所として紹介されているものがあります。しかし、江戸時代には「九門の内」「御築地内」と称しており、「公家町」という言葉自体が明治以降になって新たに使われた言葉と思われます。
また、「京都御苑内にはかつて200軒の公家屋敷があった」と紹介されることがあります。この点についても、例えば文久年間に発行された内裏図を実際に数えてみると、公家屋敷は99軒しかなく、親王家、門跡の里坊、武家屋敷など公家屋敷以外の屋敷や町屋も多くみられます。
延宝5年(1677)に発行された「内裏之図」は、火災により焼失した内裏の再建後の様子を表しています。そこには天皇が住む禁裏御所のほか、新院御所、本院御所、法皇御所と、あわせて御所が4つも描かれています。この図以降「京都御苑」内にあった武家屋敷や町屋などが、御所の土地を確保するために「京都御苑」外に移されています。また、公家が分家する際でも、新たな公家屋敷を立てるべく土地を確保する必要があったことでしょう。
このように、江戸時代の「京都御苑」は、限られた敷地に御所や公家屋敷をいかに確保するかを工夫しながら変遷してきました。常に御所や公家屋敷でない異分子を排しつつ、変化し続けてきた特別な場所でもあるのです。
第二部通常総会では、岸本幸子副理事長の司会のもと、議長に豊田博一理事が選出されました。
総会の出席者数は委任状を含め278名と会員総数の半数を超えているとの報告があり、豊田議長が総会の成立を宣言、議事が開始されました。
通常総会での議案は下記の5件で、すべて賛成多数で原案通り議決、承認されました。
第1号議案 令和5年度事業報告
第2号議案 令和5年度活動決算
第3号議案 定款変更に関する件
第4号議案 令和6年度事業計画(案)
第5号議案 令和6年度活動予算(案)
第1号議案では、小松香織理事長から1年間の活動報告があり、特に昨年10月に京都市から「未来の京都まちづくり推進表彰」を、京都商工会議所から「感謝状」をいただいたとの報告がありました。
第2号議案では、藤井久美子事務局長から活動計算書、貸借対照表及び財産目録の説明があり、決算額は約100万円の黒字を確保することができたと報告されました。
これら2件の報告について源忠監事から、いずれも適正かつ正確であったことが報告されました。
質疑では、黒字分の会員活動への 還元方法について質問がありました。
これについて、須田信夫副理事長から、都草の運営業務は、会費及び主催事業の収益だけではまかなえず、受託事業の収益で補填している。受託事業の担当者への還元率が低いとの指摘があり、今年度から見直しを行うため大幅な支出増が見込まれる。会員活動への還元については、手続きの問題も含め今後も検討していく、と説明がありました。
また、ちまきの全戸調査についての質問では、八木澤哲雄理事から内容の説明がありました。
第3号議案の定款変更では、保科秀行理事から、会費納入期限について、当事業年度の末日から前事業年度の末日への変更が提案されました。
質疑では納付期限の周知について質問がありました。
これに対し、須田副理事長から、従来から行事予定で案内すると共に、2月頃に未納の方に個別に連絡していること。今年度は期限を9月末にして、6月にお送りする行事案内でお知らせすると共に、未納の方には個別に連絡する、との説明がありました。
第4号議案の令和6年度事業計画(案)では、小松理事長から、文化庁が京都府庁敷地内に移転してきて1年が経過するが、この機に都草として内外の文化的活動をさらに充実させるとともに、今年度は「京都御所・御苑歴史散策ガイドツアー10周年記念事業」として、11月に講演会、12月にガイドツアー」に取り組む、との説明がありました。
第5号議案の令和6年度活動予算(案)では須田副理事長から、昨年度並みの収入を確保するとともに、支出では、ホームページをスマートフォンでも視聴しやすいものにする改修や、10周年記念事業について説明がありました。
質疑ではホームページ改修費用が高額であることへの質問がありました。
これについて須田副理事長から、ホームページの製作と管理は外部業者に委託しており、適切な金額と考える。相見積もりを取るためには、他の業者に仕様を出して、提案をすべて検討する必要があるが、現在のスタッフでは手が回らない。また、内製化もできないので、現在の業者にそのまま発注するのが妥当である、との説明がありました。
最後に、熊谷喜輝副理事長が令和6年度組織体制の説明を行い、第18回通常総会を終了しました。
(保科秀行、松枝しげ美、須田信夫)
(写真 西野嘉一、須田信夫)