活動内容

わくわく俱楽部 祇園祭研究会活動報告(10)(19.6.5)

わくわく俱楽部 祇園祭研究会活動報告(10)

日時:令和元年6月5日(水)
場所:ひと・まち交流館 第3会議室
参加者:18名

本日は、前菊水鉾囃子方相談役をされておられた大森重徳様より菊水鉾のお話をしていただきました。
大森様は御年86歳、そして間もなく菊水鉾吉符入りの日、7月1日には87歳になられるそうです。しかし、とてもそのようなお年には見えなく、溌剌とされておりました。


大森様は、昭和16年から囃子方となられ、菊水鉾の太鼓方のシンを務められました。
太鼓方のシンとは、囃子方トップの立場で、オーケストラで例えるなら指揮者に当てはまります。全体に指示を出し、ひとつにまとめるという存在です。
菊水鉾では、他の山鉾の囃子方では見られない「三位一体制」という制度を導入されておられます。これは、鉦、太鼓、笛の全てを囃子方全員がマスターするという事です。
鉦方から太鼓方になるには、登用試験があって、その合格が条件です。
菊水鉾には囃子の曲が40ぐらいあり、試験では自分がどの曲があたるか直前までわからないという事で、全部の曲のマスターが求められたといいます。しかも、1年に1回しか試験は行われないという太鼓方への昇格には、高いハードルがあったのです。

などと、大森様よりお話を伺ったのですが、その話しぶりから、いい囃子方を育てようという情熱と愛情がひしひしと感じられました。

本日は、鉦すり(鉦を打つバチ)、能管(笛)、太鼓のバチまた譜面をお持ちいただき、それぞれ持たせていただきました。



長さの異なる3本の鉦すりは、鉦を打つはずみに頭が外れて飛んでしまうことがあり、その度に修理をしたので、短くなってしまったといいます。
頭の部分は鹿の角(根本の部分)で作られ、柄の部分はくじらのひげで作られています。くじらのひげはワシントン条約で取引が禁止され、現在では入手が困難になってしまいました。それで、仕方なくプラスチックを代用しているそうですが、やはり音が異なるといいます。

太鼓のバチは、見た目より軽いという印象でした。素材は檜だそうです。
太鼓は叩くのではなく、打つもので、手の上げ方、下し方、角度を意識した美しい姿が求められるものだといわれました。


30年以上も前に数十万円で買い求められたという大森様の笛もお持ちいただきました。
鉦と太鼓は、町内の物ですが、笛は、個人の物で個人が用意しなくてはいけないといいます。
笛には、篠笛、龍笛、能管と三種類あるそうですが、祇園祭の囃子には、一番高価な能管を使用するといいます。



もともと、笛方はよそから頼んで来てもらっていたそうです。その為に、なかなか鉦方、太鼓方、笛方とそろっての練習ができなかったので、そこで、自分たちで笛をマスターしようと始められたそうです。率先して取り組まれたのが大森様でした。

菊水鉾巡行では、通りごと(四条通、河原町通、御池通、新町通)に、囃子方のメンバーを入れ替えるといいます。これも、囃子方への大森様の愛情が感じられました。

など、ほかにもたくさんお囃子以外のお話をもお伺いし、あっという間の2時間半でした。
大森様のお話から、今年は二階囃子、巡行などで、去年と違った感覚で祇園囃子を思い入れ強く聞けそうな気がいたします。

(報告:植村多賀子会員)
(写真:熊谷喜輝)
(広報部:熊谷喜輝)

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