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旧議場土曜講座 1月は、日本のシンデレラ「モルガンお雪」の生涯(2024.1.20)

2024.01.29
旧議場土曜講座 1月は、日本のシンデレラ「モルガンお雪」の生涯(2024.1.20)
 
                                      
 

1月20日の土曜講座は日本のシンデレラ「モルガンお雪」の生涯、講師は吉野克行会員、参加者は71名でした。

 
 
 
私は土曜講座が初デビューであり、また、重要文化財である京都府庁旧議場の立派な会場で発表させて頂ける機会を頂き感謝しております。
ちょうど120年前の1月20日に祇園の芸妓お雪(旧姓加藤ユキ)が、アメリカの大富豪、モルガン財閥の創始者の甥っ子ジョージ・デニソン・モルガンと横浜で結婚した日が『玉の輿の日』となりました。
このような記念すべき日に発表できることと、当日は大寒の日であり悪天候にも関わらず満席という嬉しい状況で緊張しながら発表させて頂きました。
モルガンとユキが運命の出会いをしたのが、USスチールが発足した年で、モルガン一族が日の出の勢いの時期でした。
結婚後も差別や偏見と戦い、フランスの社交界で花開き、モルガンお雪の三回忌には、パリの生花業者135人一行が日本を訪れ、白バラ『ユキサン』を奉納されました。
令和4年にモルガンお雪の六十回忌が同聚院で行われました。

そのようなモルガンお雪さんの生涯を発表させて頂きました。

講演する吉野克行会員

 
加藤ユキは、明治14年11月7日に父平助(刀剣商)、母コトの四女として生まれました。
明治3年、帯刀禁止令で父の商売が成り立たなくなりました。
その後金箔商を始めますが、ユキが生まれる前に商売上の失敗で家が傾き、万寿寺通高倉に引っ越し後にユキが生まれました。
ユキの兄音次郎は、三条富小路の床屋を開業してユキを育てました。
ユキは14歳で舞妓見習いとなり、芸妓名は雪香、歌、舞、胡弓の演奏が得意で、評判は大変良かったそうです。
ジョージ・デニソン・モルガンは、エール大学卒業後に銀行に席を置き、ビリヤードの名手でした。
明治34年新緑の頃に、祇園の外人専用のお茶屋尾野亭で芸妓のお雪に初めて出会いました。
お雪にはその時、10歳年上の川上俊介という恋人がいました。川上俊介は、明治31年、文部省の役人の時に円山公園の平野屋でお雪と出会っています。
その後川上は京都帝国大学で書記として勤めますが、向学心に火がついて入学し、4年後1期生として卒業し、華族の家柄である浪速銀行に就職し、東京支店長まで栄進します。
卒業と同時に金持ちの令嬢と結婚したため、お雪は思いもよらぬ裏切りと悲しみに傷心のあまり、先祖の墓前で自殺を図ったこともありました。
牧野省三は、日本最初の映画監督で「日本映画の父」と呼ばれた人物です。祇園の茶屋で夜遊びをしていた時に芸妓だったお雪と知り合い、恋心が芽生えてきます。
しつこいモルガンの求婚を相談すると、「四万円でも五万円でも吹っ掛けてやれ」とけしかけ、その後にお雪に失恋した省三は、四万円身請け話を芝居に仕上げ、西陣の「千本座」で上演して大当たりとなりました。
お雪は、芸達者な姉のウタに厳しく仕込まれ、胡弓の名手となり都をどりでもその腕を披露しました。
その後も、モルガンの猛烈なアタックにより、お雪の菩提寺である東福寺塔頭同聚院に籠り、世界三大財閥のモルガン一族に嫁ぐ決意をしました。
明治37年1月20日、横浜領事館で行われた豪華な結婚式を整えた呉服商万足屋よると、お雪は純白の打ち掛け、モルガンは黒羽二重五ツ紋付の羽織着物と仙台平の袴がよく似合ったといいます。その日が「玉の輿の日」となりました。
モルガンとお雪の結婚式は世界中の新聞に報道され、お雪は「日本のシンデレラ」と呼ばれ、一躍全世界から注目をあびました。

明治39年3月、モルガンお雪の初めての里帰りで、馬車の通る沿道ではいつも黒山の人が群がり、モルガンはパリ永住の気持ちを固め、11月29日に2人は神戸港からフランスへ出発しました。

講演する吉野克行会員

結婚してから11年後にモルガンは、スペインのセビリアにて心臓麻痺で客死し、葬儀は10日後パリの英国国教系教会で行われました。
お雪は、昭和13年3月にフランスのマルセイユ港から神戸港に到着し、30年振りに帰国しました。
帰国後は、御幸町三条のお雪御殿に約3年、柳馬場錦上に約4年、大徳寺東門近くに18年住んでおり、昭和38年5月18日に風邪から肺炎となり帰天されました。
パリの社交界で花開いたモルガンお雪の三回忌には、フランス生花業者一行135人が同聚院を訪れ、世界屈指のバラの名門であるメイアン氏がお雪を慕って開発した新種を寄贈しました。

その新種の白バラ「ユキサン」は、毎年5月、7月、9月、11月に咲く四季咲き大輪花です。高貴な香りと上品な花弁で強い芳香を漂わせています。同聚院の岡本住職が手入れをされています。

会場の京都府庁旧議場

お雪が寄贈、奉納、寄付した灯籠は、現在のウェスティンホテル(佳水園前)と須磨安徳宮にあります。
折上稲荷神社の鳥居には、当時のアメリカの関係悪化により「加藤楼稲吉」として匿名で奉納されています。
カトリック衣笠教会の聖堂はお雪の寄付によるものです。ここの衣笠墓苑には分骨されています。

お雪の60回忌法要は、令和4年5月13日に同聚院で行われました。お茶屋「かとう」の大女将も参列され、3人の芸舞妓さんもあでやかな舞を奉納されました。その様子は2023年7月20日京都新聞地域プラス面にて紹介されました。(会員 吉野克行)

会場の京都府庁旧議場

 

2月以降の各月のテーマと講師は以下の方々です。
 
 
2月17日(土):京の桜桟敷へようこそ (講師は小松香織理事長)
申込期間:1月22日から1月29日まで
 
 
3月16日(土):京都のキリシタン (講師は伊藤一彦理事)
申込期間:2月19日から2月26日まで
 
 
 
毎回事前申込制(抽選制)ですので、お聴きになりたい方は申込期間中にお申し込み下さい。
 
申し込み先は京都府・市町村共同電子申請システム
京都府HP
( 令和5年度下半期京都府庁旧本館旧議場土曜講座開催について/京都府ホームページ (pref.kyoto.jp)
にアクセスし、受付フォームから申し込みをお願いします。

下のQRコードからもアクセスできます。

 

※参加可否は、後日メールにて連絡があります。
※予約締切後、追加募集(先着順)を行う場合があります。
詳細はHPをご覧ください。

 

お問い合わせは総務部府有資産活用課までお願いします。
電話番号:075-414-5433
 
メール:huyushisan@pref.kyoto.lg.jp
 
(広報 須田信夫)
(写真 須田信夫)