旧議場土曜講座 10月は「清水寺の不思議を探る」(2021.10.16)
旧議場土曜講座 10月は「清水寺の不思議を探る」(2021.10.16)
旧議場土曜講座の令和3年度下半期が始まりました。来年3月まで6回にわたり、都草会員が講師を務め様々なお話しをお届けします。
下半期の講座開始にあたり、冒頭で小松香織理事長がご挨拶申し上げました。
第1回は田村光弘シニアアドバイザーによる「清水寺の不思議を探る」でした。
《清水寺の不思議を探る》
1年半ぶりに都草が担当する土曜講座、楽しみにお待ちいただ方も多かったようで、電話申し込みで早々に断られたという方もおられ、誠に申し訳なく思います。
清水寺(きよみずてら)と読みます。全国には(せいすいじ)というお寺がたくさんあります。漢音、呉音の違いだけで、どちらでもよいようなものです。
清水寺は平安京創建以来の古刹で、なじみの深いお寺です。しかし、以外と歴史などは知られていないようです。
今回は歴史とともに、火災による焼失再建にもスポットを当ててお話しました。自然災害の火災はどこにでもあることですが、清水寺は、南都北嶺と言われる興福寺(南都)と比叡山(北嶺)の宗教の勢力争いに巻き込まれ、度々戦火により焼失しています。直接の相手が少し北の祇園社(八坂神社・比叡山の支配を受ける)なのも悲しい歴史です。
参詣通:都からの参詣には、五条橋(現在の松原橋)を渡ります。鴨川には中之島があり、大黒さんが祀られる法城寺がありました。橋に欄干はなかったと思われます。参詣道は尾根筋にあたり、この南側は平安時代より葬送の地として知られる鳥辺野でした。此の世とあの世の境界の尾根を東に参詣します。
成就院:清水寺の本坊で中心的な塔頭で、「月の庭」としても有名です。しかし、庭は北側にあり建物の中から月は見えません。不思議に思いご住職に伺ったところ、月をそのまま愛でるのではなく、屋根の上を渡る月の光に輝く庭を見て楽しむのです、とおっしゃいました。
月を見るという常識にとらわれない新しい発想に目からウロコが落ちた思いでした。
近年中島潔氏の襖絵が奉納されました。金子みすずの『大漁』という詩を題材にして鰯の大群を描きました。
舞台:1091年(寛治5年)頃には懸作りの舞台があったとされます。なぜ急峻なところに本堂を作り、舞台を作ったのでしょう。観音経によれば、観音菩薩は崖の上に現れるとされています。そのため全国的にも懸作りは多数見られます。
清水寺では舞台を含め本堂などの再建のために、400年後を見据え京北町などに自前の山林を持ち、約6000本の欅や檜を植林しています。現在では檜皮や檜が枯渇しており、将来のための準備は大切だと思いました。
本尊:千手観音菩薩、両手を頭上に挙げられる特異な形式で、清水寺式と言います。観音菩薩は平安時代より広い信仰を集めました。33年に1度のご開帳で、次回は2033年です。
七不思議;不思議と言うより見所程度で、本などでたくさん紹介されています。代表的なものを15カ所ほど紹介しました。その他、月照と隆盛の話、舞台からの飛び降りの話、阿弖流為(あてるい)と坂上田村麻呂の話、舌切り茶屋・忠僕茶屋の話、清閑寺の話などです。
お寺そのものよりも、周辺のエピソードを集め、清水寺の特色をご案内したつもりです。コロナ禍の昨今、対面でお話しできたことだけで満足であります。
本当にありがとうございました。
(シニアアドバイザー 田村光弘)
毎回事前申込制(先着順)で、定員が22人と限られています。お聴きになりたい方は早めにお申し込み下さい。
次回以降のテーマと講師は以下の方々です。
11月20日(土):「応仁の乱・東陣エリアを語る」(講師は豊田博一理事)
申込期間:10月18日から11月19日まで
12月18日(土):「文化の発信地だった遊廓~島原を中心に~」(講師は植山政雄理事)
申込期間:11月20日から12月17日まで
1月15日(土):「『平家物語』を深掘り」(講師は團道代会員)
申込期間:12月20日か1月14日まで
2月19日(土):「風流な文化人 足利義政」(講師は須田清司理事)
申込期間:1月16日から2月18日まで
3月19日(土):「府庁が見ていた 明治後期の京都」(講師は西野嘉一理事)
申込期間:2月20日から3月88日まで
申し込み先は京都府府民総合案内・相談センター、TEL075-411-5000(電話受付時間:平日9時~17時)
またはメールに氏名・住所・電話番号を記載して411-5000@pref.kyoto.lg.jp にお申し込みください。
詳しいことをお知りになりたい方は、京都府府有資産活用課TEL075-414-5435までお問い合わせください。
(広報 須田信夫)
(写真 須田信夫)