京都府立京都学・歴彩館府民協働連続講座 第8回 都草講演会(2021.6.20)
京都府立京都学・歴彩館府民協働連続講座 第8回 都草講演会(2021.6.20)
京都学・歴彩館府民協働連続講座として行っている都草講演会の、令和3年度最初の講演会が6月20日に開催されました。
8回目となる今回は「瑞獣」をテーマに、泉屋博古館と都草祇園祭研究会とのコラボ企画で行われました。
第1部は、昨年秋に開かれた泉屋博古館開館60周年記念事業の特別展「瑞獣伝来—空想動物でめぐる東アジア三千年の旅」を担当された山本尭学芸員に講演していただきました。
東アジア世界では、吉祥をもたらすとされる瑞獣が尊ばれ、現代でも様々な美術品や意匠の重要なモチーフとして表現されていますが、その起源は約3000年前、中国古代の殷・周の時代にまでさかのぼることができます。
講演では、瑞獣の中でもよく題材に取り上げられる龍、虎、鳳凰を例に挙げ、その始原の姿やその表現方法の変遷について、文献や様々な美術品、さらには実際の動物の写真と見比べながら、分かりやすく解説して下さいました。
第2部では、都草 祇園祭研究会メンバーによる調査報告「祇園祭 山鉾に見られる動物の調査 ―中間報告―」と、山本学芸員を交えての対談が行われました。
祇園祭研究会がまとめた「山鉾にみられる動物調査」の中間報告は大変よくまとめられており、アンケートでも「祇園祭の新しい楽しみ方を教えて貰えた」など、嬉しいコメントをいただきました。
なかでも134種類にも及ぶ動物の数の多さには山本学芸員も大変驚かれて、改めて祇園祭にかける人々の思いや疫病退散の願いがこの数となって表れているのだろうと、調査研究の成果をまとめところで対談も終了。
祇園祭研究会の今後の活躍に期待が高まります。
コロナ禍で外出しにくい時期でしたが、美術館関係者、報道関係者を含む約120名がご参加くださいました。
今回の講演会は、京都新聞に翌日の朝刊、さらに翌々日夕刊と2回も紹介していただき、講演会に参加できなかった会員にもご覧いただけたのではないかと喜んでおります。
山本学芸員がおられる泉屋博古館は、住友家が蒐集した美術品を保存、公開している美術館で、所蔵品の多くは西園寺公望の実弟でもある住友家15代当主春翠のコレクションです。
最後になりましたが、ご協力賜りました泉屋博古館、京都府立・京都学歴彩館、都草スタッフの方々、会場に足を運んで下さった参加者のみなさまに、心から感謝申し上げます。
(副理事長 松枝しげ美)
(写真 須田信夫)