京都学・歴彩館府民協働連続講座 第15回都草講演会(2025.1.19)
京都学・歴彩館府民協働連続講座 第15回都草講演会(2025.1.19)
日時:2025年1月19日(日)
場所:京都府立京都学・歴彩館大ホール
講演:和田伊三男氏(真田紐師 江南(えなみ)15 代)
テーマ:「真田紐の歴史と秘密」
参加者:225名
令和 7 年 1 月 19 日(日)京都学歴彩大ホールで第 15 回都草講演会を開催し、参加者は225 名(スタッフ含む)でした。
はじめに京都伝統工芸連絡懇話会会長の谷川清三氏(都草会員)による伝統産業の中の「京に生きづく手しごと」の説明がありました。

京に生きづく手しごとの説明をする谷川清三氏
続いて講師の真田紐師 江南(えなみ)15 代 和田伊三男氏による「真田紐の歴史と秘密」について講演がありました。

講演する和田伊三男氏
日本で多く使われてきた紐は大きく分けると撚り紐、組紐、真田紐の 3 種類があり、それぞれ異なる方法で作られ、用途も異なります。
撚り紐は藁などを使い二本の束をねじって作るもので、組紐は仏教とともに中国から伝わり、絹を使って糸の束をクロスさせる形で作られます。 主に宮中で飾り紐として使用されますが、結び方などに陰陽道の意味があり、魔除け等の秘術として使われました。

舞台前方に展示された作品
真田紐は織機で縦糸と横糸で織る織物で、非常に丈夫で切れにくく伸びにくいことから、武具や商人の荷紐など幅広い用途で使用されました。主に絹糸や木綿糸を使い、通常の織物の倍以上の縦糸を圧縮して織った紐です。
真田紐の名前は、室町時代ネパールから伝来した獣毛紐「サナール」が由来です。それを堺の商人が日本で作ろうとして、東大阪で栽培が成功した国産木綿で紐を織りました。
戦国時代に、真田昌幸が甲冑の手足や足首を締める紐として使用し、少ない兵で大量の徳川軍を破ったことから、真田紐と呼ばれるようになりました。
築城時に石垣の石を固定したり、柱を釣り上げるなど建築資材としても使用されました。

刀を防ぐ実演(左は松澤宏樹会員)
江戸時代には呉服の装飾品など多用途に使われ、色や模様により茶道の家の柄を表す紐としても使用されました。
明治になると運搬業や建設業などで使用され、戦時中にはパラシュートの紐や勲章の紐にも使われました。
戦後大量生産、大量消費の時代になると需要は少なくなりましたが、最近の SDGs の考え方により見直されつつあるようです。
最後に、映画やテレビドラマに登場する紐を紹介、大河ドラマ「真田丸」で描かれた真田紐のストーリーに皆さん感動されたようでした。
舞台前方には見本帖など実物も展示され、参加者からはその多様な結び方とそれぞれの意味に驚きの声が上がっていました。(会員 西條貴子)

展示された作品を見る参加者

司会の岸本幸子副理事長
(広報 須田信夫)
(写真 須田信夫)