旧議場土曜講座 2月は、京の桜桟敷へようこそ(2024.2.17)
2月17日の土曜講座は「京の桜桟敷へようこそ」、講師は小松香織理事長、参加者は74名でした。
今日は、3つの題目で「桜」のお話をさせていただきました。まず旧本館での講演ですから旧議場中庭の祇園枝垂れ桜に纏わる話、そして歴史の中の桜と称して平安時代の桜に纏わる話、最後は同じく平安時代に「桜町中納言」という異称を持った「藤原成範」という公卿に纏わる話です。
旧本館中庭の桜たちを13年間撮影し都草のHPにアップしてまいりましたが、そのうちの3種類の桜について、桜の開花日を記録した表やグラフに纏めてみました。
なんと祇園枝垂れ桜は、開花日が十数年前よりも10日から14日早まってきていることが判りました。
早いものでもう10年以上も前になります。2012年3月5日に、都草事務所で第16代佐野藤右衛門氏と対談をさせていただきました。
その際に伺ったお話を中心に、旧本館中庭の姉妹桜について写真をご覧いただきながら紹介いたしました。
《歴史の中のさくら―平安時代の桜点描―》として、こちらも写真をご覧いただきながらお話いたしました。
まず【平安の桜人たち】について、在原業平・紀貫之・大江佐国・西行・清原頼業・嵯峨天皇・仁明天皇・花山天皇などに纏わる話をいたしました。
次に【平安の名高い桜の和歌】では、上野岑雄の「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染にさけ」、伊勢大輔の「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな」などをピックアップ。
そして【平安の桜の名所】は、法勝寺、雲林院、染殿(兄の摂政太政大臣藤原良房)、西三条第百花亭(弟の右大臣藤原良相)などを取り上げてみました。
最後に、今回の講演で一番お話したいと思っておりました【桜町中納言こと藤原成範】については、歴史上有名な父と娘を持つ桜町中納言「藤原成範」!と銘打ち相関関係図を基に説明。
藤原成範の父が、権勢を誇ったものの平治の乱で命を落とすことになった信西であり、娘が、美人の誉れ高く高倉天皇の寵妃となった小督であることを紹介いたしました。
また、小督の母親である桜御前について、静岡県森町へその足跡を訪ね、桜御前のことが児童書にもなって、今でも森町に伝えられていることを、他の桜御前の石塔や碑などと共に報告いたしました。
桜町中納言藤原成範は、吉野の桜を愛し、町の四方に移し植えその中に屋敷を建て住んだので、人々が「桜町中納言」と言ったと伝わります。
さらに成範は、桜花の短命を惜しんで桜花の寿命を延ばそうと、天照大神や泰山府君に祈願し三七、二十一日桜花を永らえたそうです。
そのような成範が建立した霊社が伏見区の神明神社(桜町大神宮)。
この社の由緒によりますと、成範が植えた神木である数株の桜はその後爛漫たる桜花となり、その命も永く、豊臣秀吉も度々その桜花を愛で、武運祈願参拝を兼ねて盛大な宴を催したといいます。(理事長 小松香織)