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京都府立京都学・歴彩館府民協働連続講座 第6回都草講演会「登り窯は語る」(2020.10.18)

2020.10.27

京都府立京都学・歴彩館府民協働連続講座 第6回都草講演会「登り窯は語る」(2020.10.18)

◆日 時:令和2年10月18日 午後2時~午後4時

◆場 所:京都府立京都学・歴彩館 大ホール

◆テーマ:「登り窯」は語る
     第1部 講演 立命館大学 文学部教授 木立 雅朗先生
     第2部 対談 「清水焼と粟田焼 五条坂に残る京式登り窯をめぐって」
         木立 雅朗先生
         猪飼祐一氏 (陶芸家 喜兵衛窯 日本工芸会正会員)
         安田浩人氏 (陶芸家 粟田焼窯元 鍵屋安田 代表)
 
◆参加人数:100名

公害防止条例が施行されて約50年。 五条坂に奇跡的に残っていた5基の登り窯でしたが、急増するインバウンドでそのうちの2基が昨年、人知れず無くなりました。
その中でも現在京都市が所有する「京式登り窯」は驚くほど巨大な登り窯で、もともとは今の2倍の規模があったこと、さらにはこの窯は五条坂にあるにも関わらず粟田焼の登り窯だということが近年知られるようになってきました。
 

前半は 窯業考古学が専門で、この窯の調査にも関わられた立命館大学の木立雅朗先生に、京都のやきものの歴史と登り窯について講演していただきました。
 

講演する木立雅朗先生

経済産業大臣指定の伝統工芸品では「京焼・清水焼」として表現される京都のやきもの。まずは「京焼」とは何か、素朴な疑問からお話下さいました。
京焼の中でも最も古い時期から文献に登場し粟田口で生産された粟田焼と、五条坂界隈で発展した清水焼。それぞれの歴史を知ると、ヤキモノを通してまた京都の歴史も見えてくるのがわかります。
 

講演会全景

後半は粟田焼と清水焼を代表する陶芸家のお二人にも参加していただいての対談。
安田浩人氏は一度途絶えてしまった粟田焼を再興された陶芸家で、今回のテーマとなった京式登り窯は安田氏の曽祖父が造られたもの。
五条坂で生まれ育ち、地域の文化遺産を守ろうと登り窯の保存に尽力されてきた猪飼祐一氏は、登り窯を使っての作品を作られる有名な陶芸家。なんと安田氏と猪飼氏のお二人は幼稚園の同級生。
 

左から猪飼祐一氏、安田浩人氏

対談する左から木立先生、猪飼氏、安田氏

京式登り窯はわたしたちに何を語ってくれているのか、3人の対談から見えてきたものが確かにあったように感じます。
涙ぐんで聞いて下さっている関係者の姿を目にしたときは、心から嬉しく思いました。
 

司会の岸本幸子理事

受付ではフェースガードを着用しました

これから開催される11月11日の「登り窯見学会」、11月21日にアスニーで開催される令和2年度の京都市埋蔵文化財研究所文化講演会にお繋ぎ出来たことも嬉しいことでした。
 

最後になりましたが、翌日の京都新聞朝刊に今回の講演会を取り上げていただきましたことをご報告申し上げます。

(副理事長 松枝しげ美)
(広報:須田信夫)
(写真:須田信夫)