activity

活動内容

第114回研究発表会報告、京のこと語り隊より 岡本 正二会員、高橋 明俊監事(21.8.6)

2021.08.12
第114回研究発表会報告、京のこと語り隊より 岡本 正二会員、高橋 明俊監事(21.8.6)
 YouTube 期間限定 8月14日(土)午前10時から8月20日(金)午後5時まで
    メール会員のみ特別公開 
 
◆日 時:令和3年8月6午後1時10分~午後4時00分
 
◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階
 
◆研究発表:1. 世界文化遺産「古都京都の文化財」~単立寺院4ヶ寺:高山寺、龍安寺、清水寺、平等院~ 岡本 正二 会員
 

      2.世界文化遺産「古都京都の文化財」 ~天台宗寺院と真言宗寺院~ 高橋 明俊 監事

◆参加人数:ひとまち 28名
 
 
 
第1部は、 世界文化遺産「古都京都の文化財」~単立寺院4ヶ寺:高山寺、龍安寺、清水寺、平等院~ 岡本 正二 会員です。
 
 きょうは世界遺産シリーズの3回目として、単立寺院の4か寺、高山寺、龍安寺、清水寺、平等院のお話をいたしました。きょうの後半、天台宗・真言宗の寺院も同じシリーズで、その4回目です。
この経緯は、都草の研修事業のひとつ「京のこと語り隊」(以下『語り隊』)で、京都好きになってもらうための出張講座用として京都に関するパワーポイントを共同作成していますが、その作品を「研究発表会」の場をお借りして皆さまに見て(聞いて)いただく機会としていただいたものです。
 
 
さて、きょう採りあげました4か寺の魅力を私なりにまとめておきます。
▶ 高山寺は日本文化を代表する漫画とお茶のルーツがここ高山寺にある、ということで注目していいですし、石水院は心休まる空間であり、心惹かれるお寺です。
▶ 龍安寺は石庭があまりにも有名ですが、その価値は十分あり、知足の蹲踞とともに奥深いです。
▶ 清水寺は音羽山の大自然に抱かれた環境が一番の魅力です。きょうの話の中で「補陀落山」という言葉を何度も言いましたが、そんな自然が延鎮さんの頃から変わらず存在していると思いたいですし、実際存在していると思います。
 
 
 
▶ 平等院は平安時代の文化遺産が数多く存在しているという点で貴重です。京都市内には戦乱や火災で古いものが残ってないのは、最古の建造物が郊外の醍醐寺にある五重塔であるとか、洛中で最古の建造物は鎌倉時代中期の千本釈迦堂であるとかいったことからもわかります。平等院も源平合戦で戦場になりましたが、被害がたいしたことなかったのは奇跡と思いたいです。
寺院は本来、信仰のための宗教施設ですが、私たちは観光対象としか見ませんし、きょうも観光としての立場でお話ししまして、申し訳なく思っています。
きょう採りあげました4か寺は、いずこも四季折々美しいです。何度も訪れてその都度拝観料を納めることで貴重な文化財や環境が維持されている側面も見逃せません。
 
 
 
 なお、きょう「単立寺院とはなにか」(これら4か寺を単立寺院と呼ぶのは妥当か)とのご指摘をいただきました。ふつうは特定の宗教団体に属さないお寺を単立寺院と呼ぶのですが、単立寺院の実態はさまざまですし、これら4か寺を一括りとして安易に「単立寺院」と呼ぶのは誤解を招く表現かと思います。
われわれ『語り隊』でもその議論はあったのですが、全部で17ある寺社(城郭も含む)を区分けしたとき、うまく分類できなかった「その他の」お寺を便宜上「単立寺院」と呼ばせてもらったのが実状です。今後われわれ『語り隊』でも再考したいと思います。(会員 岡本 正二)
 
 


 
 
 
第2部は、世界文化遺産「古都京都の文化財」 ~天台宗寺院と真言宗寺院~ 高橋 明俊 監事です。
 
 このパートでは、平安時代の寺院や僧侶の位置づけ、天台宗、真言宗、修験道をはじめ、最澄と空海の略歴、最近の話題などを解説・紹介しながら、下記の4寺院を説明しました。
比叡山延暦寺は天台宗の総本山で、延暦7年(788)に最澄が一乗止観院を創建して薬師如来像を祀ったのに始まる。
 
 
根本中堂(国宝)には最澄が灯した「不滅の法灯」が今も輝いており、常行堂と法華堂(ともに重文)は弁慶が肩を入れて担いだ伝説から「担い堂」と呼ばれる。また山内で最古の建物である転法輪堂や相輪橖も重要文化財。
 
 東寺(教王護国寺)は平安京遷都の時に創建された官寺で、後に嵯峨天皇から空海に下賜されて真言密教の根本道場となった。江戸初期に豊臣秀頼や徳川家光によって再建された。金堂(国宝)の内部には本尊の薬師如来を祀る。真言密教の根本道場を象徴する講堂(重文)は、内部に21体の仏像によって立体曼荼羅が表現されている。五重塔(国宝)は徳川家光による再建で高さ約55mは国内仏塔で最高。
 
 
御影堂(大師堂/国宝)は大師信仰の中心寺院としての東寺を象徴する建物で、毎月21日の御影供、4月21日の生御影供の法要が営まれる。灌頂院(重文)では、伝法灌頂や後七日御修会、生御影供など最も重要な儀式・法会が行われる。観智院は真言宗の勧学院で、宸殿は国宝。
 
 大内山仁和寺は、仁和4年(888)宇多天皇が創建。その後宇多天皇は出家して御室を建てて住み、最初の門跡寺院となった。これが「御室」の地名の語源。
伽藍は金堂(国宝)、御影堂、宸殿、御影堂(ともに重文)は宮廷風、二王門、中門、五重塔(ともに重文)の和様の建物が立ち並び、門跡寺院の雰囲気を醸し出している。
 
 
 深雪山醍醐寺は、平安時代に聖宝が草庵を建てたことに始まる、真言宗醍醐寺派の総本山。上醍醐には清瀧宮拝殿や薬師堂(ともに国宝)、下醍醐に金堂、五重塔、三宝院書院、三宝院唐門(いずれも国宝)などがあり広大な寺域を有する。
三宝院は修験道当山派の法頭で庭園は国の特別史跡および特別名勝。

(紙面の都合で、各寺院の美術・典籍などの文化財、行事などは割愛させていただきます)(監事 高橋 明俊)

                                         (広報部 岸本 幸子)