第112回研究発表会報告、豊田 博一 理事、高木 哲 会員(21.2.26)
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210308小野篁研究発表会概要
また説明いたしましたように、陸側のプレート(ユーラシアプレート)
が年間2㎝日本列島を押しており、海側のプレート(フイリッピンプレート、太平洋プレート)が年間4~8㎝日本列島を押しています。
東西両方から押し込まれているので地震が多く、山も押されて北アルプスなどは年間数ミリ上昇しています。
しかし川が急峻なため削られて、例えばダムや砂防ダムなどはすぐに土砂で浅くなってしまいます。日本には盆地が数多くあり、これは地震による陥没盆地といわれるものですが、最初は湖だった盆地も流れ込む川で土砂が溜まり、何らかの理由で水が流れてしまうと肥沃な盆地となります。
京都盆地も200万年前から宇治川、今出川、北山の順に大きな地震で陥没、そこに土砂が溜まって今の京都盆地が形成されました。したがって土砂は北に100m程度、南特に巨椋池周辺は900mほど土砂が溜まっています。土砂の下は固い基盤岩といわれるもので京都の場合は3億年ほど前にアジア大陸のヘリで積もった付加体(京都盆地の下は丹波帯という地質です)、といわれる岩が、今から1500万年前に今の日本列島に「流れ着いた」ものです。
そしてそれが多くの地震で陥没、ちょうど北から南に滑り台のような形状になったのです。その上に山々から土砂が流れ込んだのですが、基盤岩の「滑り台」の地形を受け継いでいますので、やはり南から北へと緩やかな「滑り台」状になっています。海抜でいうと東寺が23m、京都駅が30m、四条烏丸が38m、烏丸御池が43m、烏丸今出川が55m、烏丸北大路が70m、国際会館が90mと見事に「スロープ」を描いています。日本の盆地はこの構造盆地が多く、今は湖のところも数十万年で埋まってしまいます。(京都も山城湖の時代がありました)。例えば諏訪盆地の諏訪湖は平均水深が4.7mしかなくあと数百年でなくなってしまうといわれています。
もう一つ日本に多い湖はカルデラ湖といわれる火山の火口湖に水がたまったもので、これは山頂にあるため川が流入してないので半永久的に湖のままです。土砂もたまらないため深い湖が多く、田沢湖などは水深423mもあります。(阿蘇カルデラ盆地は京都盆地の2倍以上の広さで、600mの水深の湖でしたが西側のカルデラのヘリが何らかの理由で壊れ今は数万人が暮らす盆地になっています)
地球は新生代になって氷河期と間氷期を繰り返して海面が120m上下を繰り返すので京都盆地も確実に6回海の底にもなりました。これも肥沃な土地に役立っています。
新生代、更新世中期(50万年前)には深草からトウヨウゾウの化石も発見されていますし、同じく更新世(300万年前)大阪層群が形成されていた時代に東山正法寺境内に植物化石が多く見かけられます。大文字山は熱い花崗岩が貫入して、従来あった堆積層が変成した地質で多くの鉱物、ザクロ石、褐簾石、桜石等が多くみられます。
今回特に京都盆地を取り囲む活断層の関心が多かったようですので、いずれ「京都盆地の活断層」に絞った発表も考えています。
「私の住む京都は、東と北と西の三方を囲まれた盆地にあります。この盆地の縁には花折、断層、黄檗断層、北山断層、西山断層などの活断層があり数千年おきに直下型地震を起こしてきた。また琵琶湖の京都よりには琵琶湖西岸断層帯があり、ここで発生する直下型地震のMは7.1と予測されている。実はM7クラスの大地震が起きるたびに山地は隆起する。高くなった山では降雨のたびに表面の土砂が流される。
その結果、長い年月をかけて土砂が盆地に流入し堆積層をつくっていく。京都の縁に聳える東山や西山は、大地震が起きるたびに高くなったのだ。こうして京都を囲む三方の山と中央の盆地が数百万年の時間をかけて出来上がったわけである。逆に言えば活断層がなければ京都盆地はなかったのだ。
(会員 高木 哲)
(広報部 岸本 幸子)