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活動内容

第107回研究発表会報告、高橋 正一 会員、高橋 明俊監事(20.8.28)

2020.09.02

第107回研究発表会報告、高橋 正一 会員、高橋 明俊監事(20.8.28)

 

新企画 YouTube 期間限定 9月5日午前10時から9月11日午後5時まで
    会員のみ録画を特別公開 
 
◆日 時:令和2年8月28日 午後1時10分~午後4時00分
 
◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階
 
◆研究発表:1. 「神沢杜口」と、その主著「翁草」 高橋 正一 会員
 
      2.「鴨川の橋をめぐる」 高橋 明俊 監事
◆参加人数:ひとまち 30名 、スタッフ(講演者を含む) 6名
 
 
第1部は、神沢杜口」と、その主著「翁草」 高橋 正一 会員です。

 江戸時代中後期、京都東町奉行所与力を満24歳から43歳まで務め、その後、満85歳で亡くなるまでのほとんどを洛中の雑踏に暮らした神沢杜口(かんざわとこう、本名:神澤與兵衛貞幹 1710~1795)は、大著(原稿用紙1万枚超、約1300タイトル)『翁草』を書き残しました。

 翁草には、京都の事件や風俗を含む諸事百搬に渡る、杜口の直接・間接の見聞が記録されており、江戸時代を理解する上で有益な史料となっています。
 しかし、その膨大な分量の故か?、記載内容の考証や検証はあまりされていないのが現状です。私はそれに取り組んでおります。

 今回は、まず最初に「自分と杜口・翁草の出会い」「杜口の生涯の経歴・事績・逸話」「神沢家・実家の入江家(杜口は神沢家に養子に入った)の屋敷跡推定所在地」「神沢家・入江家両家は江戸時代、姻戚関係を重ねたこと」「昨年末、両家子孫が、久々(百年ぶり以上か?)に邂逅したこと」「入江家が翁草原本(杜口自筆本)を所蔵していたこと」「杜口を主題とする各種参考文献」等について紹介しました。

 
 次に、翁草に記載されている京商人(三井、大丸)に関する逸話について試みた考証(私見)を述べました。

 また、本年のNHK大河ドラマに因み、明智光秀に関する翁草の記述「三条白川の明智光秀首塚地に、付近住民が光秀子孫を住まわせた話」は事実であったこと。そして「明智光秀を織田信長へ推挙したのは本阿弥光二である」という聞書きについての考察と「光秀と光二の交流」「光二がいつ光秀を織田信長へ推挙したのか?」等、自ら考えた仮説を述べました。

★ ご持参いただいた参向資料

 最後に、神沢杜口、及び翁草の研究者がもっと増えることを願っています。
 

※ なお、一昨年「歴史研究」誌に杜口を紹介したことにより、歴史大賞をいただきました。
                                (会員 高橋 正一)   


 


 
第2部は、「鴨川の橋をめぐる」高橋 明俊 監事です。
 鴨川は1200年以上にわたる長い歴史を京都人とともに歩いてきました。
平安時代は伊勢斎宮の禊の場として神聖な川であり、あるときは飢饉や疫病の犠牲者の葬送地となり、時として権力者による処刑の場ともなりました。また、江戸時代には寛文新堤が造られて先斗町通や宮川町が誕生しました。四条河原は一大歓楽地となり、河原での夕涼みは現在の納涼床として引き継がれています。

近代には友禅染の鮮やかな色どりが川面を賑わしました。

一方、暴れ川で為政者を悩ました鴨川も昭和10年の大洪水後に大規模な治水工事が行われ、「鴨川公園」が整備されて市民の憩いの場となっています。

 この鴨川に架かる多くの橋の中から、最も長い賀茂大橋や現存最古の七条大橋などをはじめ、今は無き夷川橋や竹村屋(家)橋、計画されたものの架橋を断念した鴨川歩道橋(芸術橋)なども紹介しました。

そして京都市中心部の橋のたもとや鴨川の畔にある先人たちの足跡を追ってみました。
「志波む桜」「鯖街道口」「新英女学校及女紅場址」「療病院跡」「舎密局跡」「京都牧畜場跡」「立命館
大学発祥の地」「駅伝の碑」「北座跡」などの碑、「尾上松之助像」や「出雲阿国像」などの銅像や「夏目
漱石の句碑」、山紫水明処や旧木戸孝允邸、青木木米宅跡、河原院跡などとともに、悲惨な出来事を今に伝

える瑞泉寺や「元和キリシタン殉教の地」碑など、話題に事欠きません。

そして「せせらぎの道」や「花の回廊」の散歩道や、春に彩を添える「みそそぎ川」の柳や「半木の道」のシダレサクラ、「志波む桜」、観光客にも人気の「飛び石」なども鴨川の美しい景観を演出しています。

 一方、8か所の橋の下には京都府が「鴨川ギャラリー」を設置して、祭りや市電、洪水など京都の歴史を写真や説明板で紹介しています。鴨川のそぞろ歩きの途中で、ぜひお立ち寄りください。(監事 高橋 明俊)


 

◆新型コロナウイルス感染拡大防止ため、会場が三密とならないよう参加人数を30人までとしました。
 会場にお越しいただけない方のために録画を撮り、YouTubeに投稿いたしました。

 限定閲覧URLを9月5日午前10頃、メール会員にお知らせします。お楽しみに!
  なお、郵便会員の方にはURLをお送りできませんので、悪しからずご了承ください。

 

(広報部 岸本 幸子)