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活動内容

第27回都草研究発表会(11.3.8)

2011.03.14

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          ★葵プロジェクトの活動‘葵縁日’について話される高瀬川薫氏

 

 第27回都草研究発表会

◆日 時:3月8日(月)午後1時15分~

◆場 所:ひとまち交流館京都

◆特別講演:「巡り逢う日を願う草・葵」~葵プロッジェクト~

        講師 NPO葵プロジェクト事務局 高瀬川 薫氏 

◆研究発表:「平家物語」 (朗読・解説)

        都草会員 團 道代

◆参加人数:30名

◆会 費:300円

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              ★木村英輝氏によるステキなポスターは大変な人気!と高瀬川氏

 

 初めに、葵プロジェクトの事業ビジョンからお話がありました。あたりまえのようにあり、古来より大切にされてきた「葵」(二葉葵)。その「葵」がいつのまにか失われつつある。そこで次世代を担う子供達が環境という概念や生命のサイクルを理解しながら「葵」を育て、先人たちより伝承されてきた尊い文化を知り、そしてそのことを誇りに思う。人が自然と関わり、そのことによって人と人が触れ合う。まさに縁を結ぶ二葉葵。人と自然、人と人とのネットワークを構築し、受け継がれてきた貴重な文化、人間の本質的な心を取り戻すことを目指していくということでした。古代より‘葵’の歌が作られ、「あふひ」と書かれているそうです。「あふひ」の「ひ」は生命力、神霊を指し、「ひ」にめぐり「あふ」ためということで、縁が語源とのこと。また主な事業活動としては、・葵祭・葵使・授業プロジェクト・葵縁日・二葉葵展。葵祭では、葵を約1万枚使用。現在は殆どを山中に自生する葵でまかなっているが、近い将来再生した上賀茂神社境内の葵や提携協力していただいている各機関で育てた葵によってまかない、古来の伝統祭事を多くの人が支援、伝承するというモデルにしたいそうです。平成19年4月に140ぶりに復活を果たした葵使は、徳川家康公時代、徳川家家紋でもある二葉葵を、上賀茂神社から静岡・駿府城まで運ばせたのが始まりとされる行事。葵縁日は、この日大切なものにめぐり逢うというコンセプトで、地域の方、縁日に訪れる人が気楽に楽しめるという参加型縁日。境内に葵の再生!を掲げ、音楽イベントや伝統工芸のワークショップなどを開催し、体験や出遭いをとおしてそれぞれの大切なものとは、を考えてみる日ということでした。プロジェクターに次々映し出されるワンシーン、ワンシーンを興味深く拝見しました。また、徒然草第67段の、賀茂の岩本・橋本は、業平・実方なり、が紹介されました。岩本社・橋本社について、上賀茂神社境内における佇まいを拝見。ここの水を使ってしたためた願いは叶う、とされる「願い水」をアピールしたいというお話でしたが、なかなか面白いのではと感じました。

 

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★神婚、御子神誕生と昇天、神託の再修・御阿礼神事(この説話の玉依媛に代わり神託に従い祭を再修する)

 葵祭で葵を飾るようになった由来が書かれています     

          

                             (葵縁日ポスター、賀茂神話:高瀬川薫氏 提供)

 

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  ★『平家物語』の世界に誘う團道代会員 歯切れのいいあらすじと解説!

 

平家物語は、約70年間にわたる平家一門の栄華と没落を中心に、貴族社会から武家社会へ移る激動の時代の軍記物語。まず平家物語の成立から、といってもいつ誰が作ったのか、その成立事情については謎が多く、説がわかれているとのこと。後白河天皇の第二皇子で、出家し、仁和寺第六世となった当時有数の歌人・文化人である守覚法親王に仕え、その守覚法親王に大変可愛がられた平経盛の子、琵琶の名手である平経正が一の谷の戦いで戦死。それを知るや否や守覚法親王は、平家のなかでも平経正を特に気にかけてましたので、義経をよんで密かに戦況を聞き出している、という團会員のお話がありました。歴史書『愚管抄』を残した慈円の指示に従ってある者が『平家物語』を書き、盲人の生仏に琵琶の伴奏で激戦の様子を語らせました。生仏にはじまる琵琶法師が語る『平家物語』を特に『平曲』と呼び、幅広い層に広がっていったということです。室町時代には、世阿弥が平家物語を特に重んじ、それを主題にした能を多く書いています。また足利義政の頃には、500~600人程語る人がいたそうです。今回の朗読・解説に取り上げられた章段名は、・祇園精舎・祇園女御・忠度都落・海道下り・藤戸・那須与一。いずれも初めに解説・あらすじを、その後に原文を朗読するというスタイルでした。團会員による『平家物語』の活写、激動の時代をたくましく生き、そして運命のままに滅んでいく人々の群像がかくも生き生きと眼前に立ち現れるとは。その美文と朗読の持つ力に魅了されました。そして・那須与一の、「…扇は空へぞあがりける。」の次の瞬間、「しばしは虚空にひらめきけるが、春風に、一もみ二もみもまれて、海へさっとぞ散ったりける。」のところでは、團道代会員の声のトーンがすっと変化したのを聞き逃しませんでした。光彩陸離!その瞬間、音の無い世界、スローモーションのシーンとなり、美しい情景が映し出されました。

 

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  ★沈重、哀切、團会員の抑制の効いた声、時に強くふと優しく。色鮮やかな一幅の絵画がまぼろしのように現れる!

 

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  ★團会員の語る『平家物語』、まるで3D映画を鑑賞しているがごとき!あちらこちらから賛美の言葉が

 

 

 (事務局 小松香織)