第25回都草研究発表会(11.1.14)
2011.01.21
第25回都草研究発表会(11.1.14)
◆日 時:1月14日(金) 午後1時15分~
◆場 所:ひとまち交流館京都 3階
◆講 演:①『戦前の絵葉書でたどる京都~川を中心に~』
講師 カッパ研究会世話人 水文化研究家 鈴木泰久氏
②『角倉了以とその一族~高瀬川開削を中心に~』
講師 角倉宗家十七代 角倉吾郎氏
◆参加人数:46名
◆会 費:500円
★鈴木泰久氏 3時から大学での講義というお忙しいなか、お話いただきました
絵葉書には名所旧跡の紹介というだけでなく、その時代時代の風俗習慣まで伝える記録としての機能があります。
嵐山保津川を一つの例として、多数の映像で紹介されていました。保津川下りの船を引綱にて上流まで引き上げている写真、釣り糸を垂れている人物(魚釣りのパターンは風景が変わっても同じように配置されているのがおもしろい)。
今ではめったに見ることのできない筏流しもあり、そのときは筏が優先され、船は一時船留で待機させられるなど、そーなんだーと感心させられるものも多数ありました。
絵葉書にも最初、文章を記入する欄が設けられておらず、絵や写真に直接記入していた時代がありました。表面に記入欄が設けられても、枠が1/3の時代から1/2への変化の説明も目新しい発見でした。
絵葉書は当時の写真だけでなくデザインや木版画など当時の流行や好み、ニュースや建物等の記録物としても貴重であり改めて興味を深く致しました。
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★ 角倉五郎氏 今日のお話を楽しみにしていた会員も多くいました
安南(ベトナム)との朱印船貿易を基に、富士川、保津川の開削をします。これらの実績により1611年、一の舟入あたりの高瀬川上流の開削を完成させます。全面完成は1614年とされます。全長11km、川幅7~8m、水深20~30cm淀川の30石船と連絡します。総工費75000両(最大値150億円)船の運上金徴収が1回2貫500文で年間1万両(20億円)の収入があったとされます。
建設費を幕府が出さない代わり、運上金は角倉家が取りました。
これら高瀬船の水運は、京都の物価にまで大きく影響を及ぼしたといわれます。子息の角倉素庵も安南貿易の中心的人物として活躍し、経済的バックボーンは彼が担いました。素庵は本阿弥光悦などとも親交があり、嵯峨本を作るなど文化的にも名が知られていました。
菖蒲谷から大沢への角倉隧道の建設や角倉人形、角倉猫など業績も多くあります。
高瀬川が九条から少し南で鴨川とクロスしているのはとてもユニークであり、高い技術だと思います。(流れの早い日には渡りきれずに淀川まで流されたりして・・・マサカ)高瀬川が最初の建設がされて、ちょうど400年目に当たる記念すべき講演でした。
(記事・写真 田村光弘専務理事)
(事務局 小松香織)