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活動内容

第142回研究発表会報告、豊田 博一理事、岡田 英三郎会員(25.3.11)

2025.03.16

第142回研究発表会報告、豊田 博一理事、岡田 英三郎会員(25.3.11)
 YouTube 期間限定 3月17日(月)から3月23日(日)午後5時まで
    会員のみ限定公開

◆日 時:令和7年3月11日 午後1時10分~午後4時00分

◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階

◆研究発表:1.平安時代のうんちく話2 豊田 博一 理事
      2.「天皇陵」の踏破を終えて 岡田 英三郎 会員

◆参加人数:ひとまち 21名

第1部は、平安時代のうんちく話2 豊田 博一 理事 です。
平安時代の資料を検索して遊んでみませんか?
まず六国史の原文は
六国史原文 菊池眞一研究室 
http://www.kikuchi2.com/sheet/rikkoku.html
で見ることができます。元々の原文に西暦の年月日が足されていて、年月日ごとに段落替えしているので見やすいです。尚且つコピーしてワード等にダウンロードして、検索が可能です。但し漢文で検索するためには、適切なキーワードを調べて、試行錯誤することが必要。

国史、六国史の最後である日本三大実録では887年の光孝天皇崩御までが記録されている。
そのため、これ以降御紹介するデータベース等は基本的に887年以降の資料をデータベース化しています。つまり887年以前の資料はほぼ六国史以外にはなく、六国史を読むことは必須となる。
東京大学史料編纂所 データベース検索 
https://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/
は887年以降の資料をデータベース化したものであり、検索しやすくデータを分類しており、ほぼこれによって検索ができる。
国際文化研究センター 摂関期古記録データベース https://rakusai.nichibun.ac.jp/kokiroku/
は、摂関期の日記関係を網羅したデータベース、例えば御堂関白記や小右記を簡単に語句で検索ができる。

 

上記のデータベースで色々な検索は可能だが、キーワードが何なのかは研究者の現代語訳を参照せざるを得ない。
続日本紀 宇治谷孟  日本後記 森田悌  続日本後記 森田悌
今回の研究発表の趣旨は上記のデータベースを使ってできることを発表することにより、集計できることの例を紹介し、楽しさを伝えたいが本旨です。

 

このように検索した個々のデータをエクセル等に落とすことにより、見える化し桓武天皇の外出を通じて、天皇の個性が何とはなしに感じられます。
その他の天皇のデータ、また貴族の外出先、平安時代の物流等について資料に纏めましたのでご笑覧ください。

(理事 豊田 博一)

 



第2部は「天皇陵」の踏破を終えて 岡田 英三郎 会員です。
 天皇陵を含む陵墓は私のテーマの一つです。
2022年淡路島にある淳仁天皇陵への参拝で、宮内庁の管理する御陵(歴代天皇陵、歴代外天皇陵、三后陵)を全て踏破しました。約20年かかりました。

 

 天皇陵については、2012年7月に「京都周辺の陵墓巡り」(都草での初めての研究発表)、2018年10月に「歴代外天皇少考」と2回取り上げました。
今回は、宮内庁が治定している天皇陵について、いくつか取り上げその虚実を紹介しました。
そして、初代神武天皇から82代後鳥羽天皇までの80御方の陵のうち真陵と思われている御方は12名(約15%)に過ぎないことを報告しました。

 

 

 また、「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録されたことに関連して、森浩一先生が問題提起され、多くの学者の賛同を得ていた天皇陵古墳の呼称が、歴史学的に後退した(例えば仁徳陵→大山古墳→仁徳天皇陵古墳)ことをお話ししました。
観光資源となった、構成資産の天皇陵が文化財としてではなく、相変わらず宮内庁の管理下に置かれたことにも懸念があることをお話ししました。

 

日本の国家形成に重要な天皇陵が、研究者にも公開されない現状に考えさせられます。
陵墓についてはなお興味ある課題があります。機会があればまた発表の機会をえたいものです。(会員 岡田 英三郎)

 

                                  (広報部 岸本 幸子)