活動内容

第3回 都草ガイド研修会★並河家、堀野家の両記念館を訪ねて★(2014.10.29)

第3回 都草ガイド研修の報告
★並河家、堀野家の両記念館を訪ねて★
                     研修部 中江 好喜
 

今回は、趣向を変えて明治・大正時代に大活躍した有線七宝の巨匠、並河靖之七宝記念館と江戸時代後半より酒造りを始め明治時代に「キンシ正宗」を発祥させたキンシ正宗株式会社の堀野記念館を訪ねた。

 

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地下鉄東山駅に総勢24名が集合し午後1時、まず並河靖之七宝記念館へ向った。ここでは年齢別に靖之の生い立ちについて案内した後、有線七宝の技法に触れ説明を行った。
ビデオ鑑賞により確かな知識を身に付け、学芸員にもさまざまな質問を投げかけ研鑚を重ねた。
 
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庭園については、「植治」こと7代目小川治兵衛の作庭で神仙思想を基本として造られており、池の最深部には蓬莱山を築き奥行を感じさせていた。
池を「沢飛び」で渡らせる手法は植治が得意としたものである。
また、石へのこだわりも強く、景石の配置に紀州の青石、京の貴船、鞍馬、白川石などの名石がふんだんに使われていた。
 
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植栽樹木は巨大な赤松を主体とし常緑樹で構成されているが、中でも植治が好んだキササゲや京都に珍しいイスノキなどが注目された。
 
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旧工房で展示されていた多くの素晴らしい作品にふれ、垂涎のまなざしで見入り何度も見返し溜息が出たり、値踏みする人まで現れた。
建物の外観は、京町家特有の虫籠窓、京格子、駒留めを備えた大規模な表屋造で、京都の伝統的な商家の構えをしており、明治27年の竣工である。
 
 
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次の訪問地である堀野記念館には3時過ぎに到着。天明元年(1781)、若狭出身の初代松屋久兵衛がこの地に造り酒屋を創業したことに始まり、これが「キンシ正宗」の発祥である。
江戸から明治維新にかけて、御所近辺には150200軒もの造り酒屋があったものの、明治2年首都が東京に変わり、お公家さんや関係御用達商人など一大消費者が移ってしまったこと、工場を拡張しようにも街中で困難であった等の理由により明治13年酒造拠点を伏見に移転した。
ここでは、酒造りの三要素、酒の銘柄、三大酒米、米の成分、酒造りの行程などの説明を行った。
天明蔵、文庫蔵を見学後、宮水である「桃の井」の名水(毎時3トン、温度は年中1617度)を全員が試飲し、癖のない柔らかな水質に納得。
 
 
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名水「桃の井」
 
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天明の大火で唯一焼け残った文庫蔵
 
主屋の建物は明治初期のもので約120年以上は経っている。
一階、二階の奥座敷では、さまざまな使用材を用い小規模ながら細やかなおもてなしの心で行き届いた造りとなっていた。一階では、おとしに真竹(9の節)、棚板は欅、小柱は縞柿、床柱は赤松の皮付(摺り上げ)、床のかまちはタガヤサン(鉄刀木)を使用。二階の違い棚は玉杢、床板はトチ、小柱は黒柿、おとしは杉の柾、天井には霧島杉を使用し隠れた演出効果が見られた。
 
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すべてを見学のあとは、待ちに待った試飲タイム。本醸造酒、純米酒、地ビールなどを試飲し笑顔、笑顔のなか4時過ぎ解散となった。
 
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また来年のガイド研修会でお会いしましょう。
 
(写真撮影:林 寛治監事・熊谷喜輝理事)
 
(事務局 熊谷)
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