第9回都草地蔵研究会「お地蔵さん連続講座~寺町地蔵めぐり~」(12.11.17)
2012.11.23
★蘆山寺山門・もみじのさんもん
第9回都草地蔵研究会「お地蔵さん連続講座~寺町地蔵めぐり~」(12.11.17)
寺町地蔵めぐり記(第9回地蔵研究会)
●11月17日(土)朝9時。予報通り雨。最近の天気予報はまず当たるから悔しい。それでも集合場所の地下鉄鞍馬口駅には12人の地蔵フリークが集まる。これらの中には、物知り博士のTさん、その場にいるだけで周りが明るくなるKさんがいるからたのもしい限りだ。まず、地蔵巡りの作法として、地蔵尊前で真言(オン カカカ ビサンマエイ ソワカ=帰命し奉る 地蔵菩薩 不思議な賢者 あなかしこ)又は南無地蔵願王尊を三度唱え、しかるのち、ご利益を願うことが一つ、もう一つは賽銭箱があれば、例え10円でもいいから賽銭を投ずることを説明する。さあ、寺町通鞍馬口の上善寺をめざして出発●上善寺門前には六地蔵めぐり第一番札所の大きな標石がある。第一番札所といわれた寺はこの上善寺のほか、六地蔵大善寺と四ノ宮徳林庵がある。早速、地蔵尊を拝観し、作法通り真言を三回唱え、参加者それぞれのご利益を願う。この寺には地蔵尊のほか、大日如来の大きな石像と十三仏の石像があるから必見である。次いで、天寧寺のわらべ地蔵、西園寺の槌留地蔵に拝観する。わらべ地蔵はブロンズ製で最近の造立であるが、賽ノ河原で幼児を庇護する姿である。槌留地蔵は左手宝珠、右手与願印、截金模様の美しい姿で、後に六体の地蔵像が侍り、壁面には天国と地獄が描かれている。ご利益を願うのを忘れて、しばし見惚れる。阿弥陀寺のお福地蔵は、非公開のためマップの説明を見てパス。十念寺もマップでは声をかけたら拝観できると記載されているが、ご住職夫妻が留守のため残念ながら拝観できなかった●仏陀寺門前の地蔵堂に鎮座する地蔵は、桓武天皇が平安京を定めた際、鎮護国家と衆生救済を祈願して彫らせたので、王城地祭地蔵と名付く。左手宝珠、右手与願印、結跏趺坐した木像である。尊前には神鏡が供えられ、江戸期以前の神仏混合時代の名残を止めている。おだやかで、瞑想にふけっているような顔貌には、古様が漂う。裳の結び目が見えることから、安産地蔵としての信仰がある●途中、本満寺に立ち寄り、境内を散策する。ここには著名なシダレザクラがあり、桜フリークのKさんから説明を受ける。次いで幸神社に立ち寄り、鬼門の猿を見る。参加者の多くが神社の由緒や鬼門の猿を知らなかったので、Tさんの説明に一一頷いていた。清浄華院でトイレ休憩の後、Tさん(前出のTさんと違う)の発案で、円形になって各自自己紹介をする。参加者には、京都生まれで京都育ちの人も少なくなかったが、屋久島、北海道、茨城などと遠方出身の人もいて、少し驚くとともに、これらの人を引き付けてやまない我が町京都に住む誇らしさを感じた●廬山寺の地蔵は僅か数センチで明智光秀の念持仏と伝わるが、残念ながら秘仏で拝観できない。しかし境内の紅葉と銀杏は見ごろで、御所林を借景とし、赤と黄色の素敵なグラデュエーションには息を飲んだ。同寺墓地の背後には、秀吉が築造した御土居が残存しているので、拝見させてもらった。そろそろお昼近くになり、お腹の虫が騒ぎ出したので、老舗のソバ屋「さらしな」で各自思い思いのおそばをいただく。おいしかったが、量は少なめで、少しガッカリ●お昼を食べた時点で、本日の予定の12時をオーバーしていたので、一旦中締めの解散を行う。しかし大部分の参加者は、そのままツァーを続行することに。番外の革堂行願寺の百体地蔵と天性寺墓地の石造地蔵を見て、矢田寺へ。矢田寺の地蔵は、「矢田寺縁起絵巻」に基づいて代受苦地蔵とも呼ばれる。現在の地蔵は火炎の後に立っているが、この火炎は、元は光背であったのが脱落したため、前に出したものだ。地蔵の印相は火炎の後になって見分けられないが、右横にミニチュアがあるので、「矢田型」地蔵であることが分かる。同寺には、都草が発行した「京のお地蔵さんめぐり寺町通界わい」マップが貼り付けられていて、ご住職によると見ていく参拝者も少なくないということで、ありがたく感じた●だいぶ時間も経過してきたので、今日は締めくくりに、妙心寺の醒ヶ井地蔵、蛸薬師の鯉地蔵、西光寺の腹帯地蔵を拝観することとした。妙心寺はTさん(始めのTさん)のお寺であり、Tさんからお願いしていただくと、秘仏の醒ヶ井地蔵を快く拝観させていただいた。写真でみるのと実物を拝観するのは大違いで、仏像の美しさと神々しさに一入感心した。次いで蛸薬師の鯉地蔵をめぐり、最後に西光寺を訪れた。西光寺では、雨中にもかかわらず、ご住職のご厚意で拝観を許可していただいた。マップ作成時には脇壇に祀られていた腹帯地蔵は、ご本尊の阿弥陀如来像の右脇に祀られていた。ここでも静かに真言を三回唱え、寿命長遠を祈らせていただいた。帰りに、マップの余部を奉納したところ、事の外、ご住職に感謝された●午後2時50分、集合から解散まで約6時間を要して、本日のツァーが無事終了した。一日中雨であったにもかかわらず、機転を利かせた自己紹介や要所要所で参加者が自ら説明役を買って出ていただいたお陰で、和気あいあいとした雰囲気の中、蘊蓄も深まって思いのほか、楽しいツァーとなった。これも参加者各位のご協力の賜物と深く感謝している次第である。 (文 地蔵研究会 吉見誠一郎)
★清浄華院高麗門
★本日ツアー参加者の自己紹介をいたしました
★雨の寺町通をあるく
★蘆山寺東側
★革堂
★革堂 都七福神
★天性寺
★矢田寺
★ご真言 本日のツアーではなんども唱えました
★矢田寺 なんと!我が都草地蔵研究会作成の寺町地蔵マップが!うれしいかぎりです♪
★妙心寺 醒ヶ井地蔵尊石碑
★醒ヶ井地蔵尊 ついにお詣りが叶いました! ご親切にありがとうございました
【阿弥陀寺】
【本満寺】
【清浄華院】
【蘆山寺】
【天性寺】
(事務局 小松香織)