活動内容

第67回研究発表会報告、伴仲啓良会員・住 邦夫会員(14.12.11)

 第67回研究発表会報告、伴仲啓良会員・住 邦夫会員(14.12.11)

◆日 時:平成26年12月11日午後1時10分~午後4時00分
◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階
◆研究発表:1. 「竹から籠から籠神社から籠目へ繋がる歴史の溝」 伴仲 啓良 会員
    2.「失われてゆく風俗と行事(暦の話をもとにして)」 住 邦夫 会員
◆参加人数:36名
◆参加費 :300円   一般参加費 :500円
 
 第1部は「木」のスペシャリストの伴仲 啓良会員。今回は「木」の中でも「竹」にスポットを当て、発表下さいました。
 竹はその成長の驚異的な早さから、超自然的な働きをする霊力があると信じられてきました。呪術の用具として竹器が用いられた理由も頷けます。さらに、「竹」を材料として作られている「籠」は単なる生活の道具ではなかったはず。
「籠」という漢字は「竹」と「龍(円筒状で長い)」で出来ており、大蛇のような細長い竹かごを表していて、家、城、また祈願のために寺の中にはいってでてこない・・・という意味があるようです。
 

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そのように考えていた矢先、元伊勢といわれる「籠神社」を訪ねました。この神社はよく考えると、「籠」と書いて、「この」を読みます。それはなぜなのか・・・。興味は深まるばかりです。
 
籠神社は京都府宮津市にあり、近くには丹後国分寺跡もあり、一帯が丹後国の中心地であったことが伺えます。奥宮の真名井神社は豊受大神宮(伊勢神宮外宮)の旧鎮座地と伝えられています。
また籠神社に伝わる『籠名神社祝部海部直等之氏系図』は竪系図の最も古い形を伝えたものと云われ、昭和51年に現存する日本最古の系図として国宝に指定されています。
 

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籠神社の奥の宮・真名井神社のかつての神紋は実は籠目紋。籠目紋は別名六芒星。六芒星の中には三日月と日がありますが、月は月読、日は天照大神を意味していると考えています。
籠神社の名称は、神代に彦火火明命(彦火明命)が竹で編んだ籠船に乗って龍宮に行かれた故事に因むものであり、「籠」を上古において「コ」と発音した事から「コノジンジャ」といわれるようになったと、『元伊勢籠神社御由緒略記』からの抜粋がパンレットに記載されています。
 

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童謡でお馴染みの「かごめの歌」にも「籠」は出てきます
カゴメカゴメ、籠の中の鳥は、いついつ出やる。夜明けの晩に、鶴と亀がつぺった(すべった)。後ろの正面だあれ。ここに秘められた歴史の謎へ・・・興味は尽きません。
                             (記事 松枝しげ美)
 

 
 第2部は住 邦夫会員より今回で6回目の研究発表のタイトルは、「失われてゆく風俗と行事(暦の話をもとにして)」です。
昔の夜はとにかく暗く、夜道の「月」はたよりになる照明であった。「月」の満ち欠けは、誰が見てもわかり易い表象であり、また だれにとっても必要な知識であった。そこで原初の暦は、ごく自然に太陰暦となった。これに関係した友人の体験談で比叡山から八瀬に降りようとした時に迷ってしまった。その日は月が出ない日で山の中は1メートル先も見えない真っ暗の状態だった。現代人は理屈では分かっていても現実では分かっていないので夜の闇を怖いと思っていない。

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古代には闇はいたる所にあって、頼りになるのは月だった。太陰暦では1日は必ず闇夜で15日は必ず満月。1ケ月の数が29日または30日で現在より短いことが後に重大なことになる。月の出、月の入りは1日に50分位づつ遅くなってゆく。15日の満月の次の日の十六夜(いざよい)は50分くらい遅れるので「いざよう=ためらうように」の意味になる。
 

 太陽暦は天球図を見て考えると世界の中心に自分がいて、空はお椀でお椀の表面を太陽が通り、太陽は春夏秋冬で軌道が変わる。春分の日は昼と夜の時間が等しく太陽が真東から出て、真西に沈む。夏至の昼間は太陽が真上近くから照射し、夏は太陽光を多く受け暑い。冬至のときは斜め上から照射し、冬は太陽光の受けが少なく寒い。
太陰太陽暦(旧暦)は月の満ち欠けにもとづく太陰暦を重視し、1年354日と短いため季節のサイクル365日と合わない。そのため3年に1回の割合で1年を13ケ月(384日)にした。昔の日本人は1300年もこの暦を使ってきた。
 

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 明治5年12月3日になって、この日を太陽暦(新暦)の明治6年(1873)1月1日として、欧米諸国と暦を合わせた。これにより約1300年間使ってきた太陰太陽暦の使用が終了した。現代の日めくりは知識の宝庫です。新暦、二十四節気、六曜、干支、太陰太陽暦、七曜、元号が1枚に表示されている。
 
釈迦の仏教は先祖供養とは無縁であったが、日本ではこの二つが結びついて盂蘭盆会(旧暦7月15日)になった。この時期には、前後して地蔵盆、六斎念仏、盆踊、松上げなどがあるが、これらは深いところでお盆と結びついた行事群である。

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現在の盂蘭盆会は月遅れの新暦8月15日に行われる。この日は偶然にも昭和20年の終戦記念日と重なっており、多くの死者達の魂を鎮める万霊節の役割も演じるようになった。

五山送火の行事は昔、旧暦7月16日におこなわれた。この日は大文字点火の20時頃、東山に十六夜月が必ず姿を現す。東の山に現れて、静かに空の高みに昇ってゆく月は、御精霊が送り火に見送られてあの世(西の方)へ帰ってゆくイメージ。
現在は新暦8月16日におこなわれるので、この日の月齢は一定せず、月との関係はまったく無くなってしまったことは残念です。
               (記事 岸本 幸子)
 
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