活動内容

第100回記念 研究発表会報告、伴仲 啓良会員、深澤 光佐子会員(19.3. 15)

第100回記念 研究発表会報告、伴仲 啓良会員、深澤 光佐子会員(19.3. 15)

◆日 時:平成31年3月15日 午後1時10分~午後4時00分

◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階

◆研究発表:1. 「京の仏像 50選」 伴仲 啓良会員

      2.「平安貴族の位階と職制のしくみ」 深澤 光佐子会員

◆参加人数:49名

 

【第100回記念 研究発表会】

2007年6月から始まった研究発表会が来年2019年3月に100回目を迎えます。過去に発表していただいた119タイトルを見て、聞いてみたい話を昨年選んでいただきました。アンケートをした結果67名の方より335タイトルのリクエストをいただきました。その中で上位2タイトルに選ばれた会員に再度、講演をしていただく事になりました。

上位2タイトルに選ばれた深澤 光佐子会員と伴仲 啓良会員

 

第1部は、「京の木の仏さま」 伴仲 啓良会員です。
 頭部から体部までの主要部を1つの用材から掘り出す技法で現出された仏さまを「一木造の仏さま」といわれます。
一本の木から現仏する故に、「霊木化現仏(れいぼくけげんぶつ」とも言われます。『京の木の仏さま 一木造』を私的好みでセレクトし紹介をさせて頂きました。
私達の人知を遥かに超えた長寿命樹木が数多くあります。長い年月私達人間の所業を、見て来られています。神宿ると思えてなりません。その神仏宿りし事を「仏像」「神像」として、お姿化されたのが「霊木化現仏」と表現されるのでしょう。

「一木造の仏さま」は、一人の仏師の制作となるため、仏師の想いが籠った、充溢感や気迫溢れる作品となることが挙げられます。これは、何人もの仏師が分担し関わって制作する「寄木造」との大きな違いであるでしょう。
又「一木造」は、大きな像を造るにはそれ相応の巨木が必要で、彫刻に適した適当な用材を選定することや、費用面ではどうしても困難が伴われます。そのため、失敗は許されず、仏像の制作者達は大きな緊張を強いられることになるでしょう。一人の仏師は、私達の五感を超えた第六感「意」能力、或いは、それ以上にも至れる発霊が有ったのでしょうか。
熟々思いますに、私感、その代表の一つに「榧一木造 神護寺薬師如来立像」を感じざるを得ません。
「誰が何のつもりでこんなん作ったか?」と思う人は私だけでしょうか?

以下のことが私たちに語り継がれてきております。
「和気清麻呂は孝謙天皇(第46代、重祚して第48代・称徳天皇)から八幡神の神託を聞きに行くことを命じられた。それは、天皇が寵愛する護持僧の弓削道鏡に皇位を継がせるために神託を必要としたからである。ところが、清麻呂が奏上した神託の内容は、天皇の意に反するものであった。これにより、道鏡を皇太子に、との天皇の計画は成功せず、天皇の怒りにふれた清麻呂は大隅国に配流となった。ところで、天皇への道を閉ざされた道鏡の怒りはいかばかりであったろう。道鏡は若い頃、山林修行者として特殊な能力を得ていたらしい。彼は、その並外れた呪力により、天皇の護持僧となった。当然のことながら、清麻呂は、道鏡の呪詛を恐れたであろうし、道鏡の死後は、怨霊と化した道鏡の攻撃にさらされるかもしわないという恐怖があった。

その怨霊に対抗し、身の安全を守ると信じられたのが薬師如来であった。薬師如来は人々を病気や災害から守るという徳があるが、神護寺の薬師如来像に限っては、それをはるかに超えた緊迫感。そこには特定の人物を危機から救う抑止力だけでなく、怨霊の攻撃を打破しうる強力なパワーが込められているかのよう。その爆発的な力をもった薬師如来像の造立を、どう実現するか。それは作者にとっても命をかけた真剣勝負であったのではないか。その仏像に強烈な迎撃力を込める秘策があったのではないだろうか。」
以上の話は、余りにも「一木像」の代表的な逸話と思えてなりません。

特に私は、『木の仏像』に執着しております。今 ちょっとした仏像ブームと言われております。拝像の一助になればと思い発表させて頂きました。(会員 伴仲 啓良)


第2部は、「平安貴族の位階と職制のしくみ」深澤 光佐子会員 です。

 初めに、平安時代の官位制について、これは押さえておきたいという問題10問を皆様に解いていただきました。
○官位は、官職と位階から成り立っている。○昇殿を許されるのは五位以上(殿上人).○議定官と三位以上の高級官吏は、公卿とか上達部と呼ばれた。○律令制に規定がなく、後から作られた官職を令外官という。○祖父や父の位階に応じて子や孫は優先的に位階がもらえるのは蔭位制度という。などの問題です。

答え合わせをしながら、位階・官職についてその仕組みを考え、正一位をもらった人(一〇九人)がどんな人だったかとか、叙位議・除目議がどのように行われたかということを中心にお話ししました。

貴族と天皇の合議(いわゆる陣定・除目議・叙位議も含まれる)の様子がわかる絵図を見つけ、受領が豊かな生活を送っている様子は、縁起絵巻の絵で見ていただくことができたので、より理解しやすくなったのではないかと思いました。

最後に女叙位についての質問や、貴族の日常の生活についての質問(たくさんの貢ぎ物の食べ物が残ったらどうするのか?トイレはどのようにしていたか?等)を受けましたが、あまり記載がなく研究の進んでいない分野ということもあってはっきりしたことがわからず、勉強不足を感じました。

前回の発表の皆様の様子から感じた思いをお話ししたからか、今回は終わった後にたくさんの方が感想を述べてくださって大変うれしく思いました。

100回もこの会が続いてきたことは、スタッフの皆様のお力の賜物と思います。記念の会にこうして参加させていただけて大変良い思い出ができました。ありがとうございました。(会員 深澤 光佐子)

 

★他にも以下のタイトルが上位にえらばれました。

「能」の中の京都 ・後白河とその時代 ・京都庭園の景観を探る ・失われてゆく風俗と行事(暦の話をもとにして) ・京都名水巡りー京都の名水の多様性 ・京都不思議探訪 ・幕末京都の歴史 ・茶の湯と寛永文化 ・深草十二帝陵と天皇さんのお話 ・小倉百人一首と京都 ・京都の河川の変遷について ・京ことばについて ・京都の神社と御祭神 ・京に残る町名看板 ・狩野派と京狩野の絵師 ・古建築の基礎 建築の美しさは屋根から ・薩摩の歴史にみる京都のかかわり ・御霊になった能書家 橘逸勢 ・三条通と旧東海道 ・伏見の町の変遷 ・知られざる時代の先駆者 ・節分の豆撒きと追儺ー深泥池 始源伝承を追ってー ・神道と神社入門シリーズ ・『古事記』はおもしろいシリーズ ・意外と知らない歴代知事の横顔と京都復興のお話・・など

(広報部 岸本 幸子)

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