活動内容

第56回研究発表会(13.12.19)

 第56回研究発表会(13.12.19)

◆日 時:平成25年12月19日午後1時10分~午後4時00分
◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階
◆研究発表:1.「京の小さな道 」その1 菊井俊彦 会員
      2.「能」の中の京都 住 邦夫 会員
 
◆参加人数:43名
◆参加費 :300円   一般参加費 :500円
 
 第1部は菊井俊彦会員より京都の小さな道 その1です。
旧東海道、旧今出川通、松原通、長坂越・・・。
これまで「道」をテーマに様々な角度からその歴史を追い求めてこられた菊井会員が、勉強を始められて五年目の区切りとして、今回は小路・辻子・突抜・切通・路地・切り離された道についての成果をお話して下さいました。
 

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たとえば、旧今出川通を勉強されている際に、南北方向の辻子だと考えられていた「兼康辻子」が、実は東西方向の辻子であった事がわかり、旧今出川通と須磨町通の間を埋めていた辻子であったことを確認されたのを皮切りに、時代によって消えてしまう道、逆に生まれ出る道があることを色々な道を例に挙げて、報告されました。
 特に四条通りにおいては、『祇園社記』資料より、御土居によって天正19年から慶応6年まで閉塞されていたこと、近年に至って造られた花遊小路やその周辺の小路については、古地図や新選名所図会等を使って、これらの小路の場所や範囲を考察されてこられました。
 

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 また菊井会員がフィールドワークの中で写真に収められた珍しい木製の仁丹看板5つをご紹介して下さいましたが、なんとこの内の4つが辻子に関するものとは驚きです。
先斗町や四条通に見られる「番号路地」の写真も非常に情緒がございます。
 
 

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 さらに、辻子の大家・山本喜康会員の辻子の定義と、『新選 京都叢書』から154通におよぶ辻子一覧表を今回の資料にご用意下さいました。
今後この数を基準に益々ご研究を深められるということで、今後のご発表が楽しみでなりません。
(記事 松枝しげ美)
 
 

 
 第2部は5回目の登場になる住邦夫会員です。今回も巧みな手描きのイラスト入り資料でハードルの高い「能」をわかりやすく楽しくお話して頂きました。
まず、能には演出家がいない、というのが大きな特徴です。シテ方、ワキ方、狂言方(アイ)、大鼓、小鼓、笛の職業集団による完全な分業体制で、お互いに他の領域を侵しません。ワキ方の家に生まれると一生ワキ方で、芸が上達したからといってシテ方になることはありません。また、それぞれに流派があります。
 

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 狂言方の中には滑稽な振りをするアイという役割があります。ひな人形の五人囃子は能の囃子から出て来たものです。歌舞伎との大きな違いはシテ方に女性演者がいるのと、長期公演はせず一回性原則です。分業体制なのに本番前の申し合わせ稽古は一回のみ超高度なプロの集団です。
能の登場人物は少なくだいたい5人で、シテ、ワキ、アイ、等舞台の中で位置する場所が決まっています。衣装を直したりしている後見は一番偉い方がなられていてシテに事故があった場合即座に代わりができる方です。能に出てくる文言すべてを総称して「謡」と言います。
 

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 歌舞伎、文楽の囃は三味線が中心ですが能の場合は三味線がまだ普及していない時代からあるので鼓が中心です。能の衣装の模様には独特の意味が隠されています。胸元にちらっと見えるウロコ柄は異界の住人である鬼や蛇であることを暗示しています。笹を持った女人は狂女であることを暗示しています。シテは能面をつけることが多くこの世の外の住人であることが強調されています。ワキは現世的な人間であることを示し能面をつけません。
 

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 能を分類すると5番目物まであり神、修羅、女、狂、鬼にわけられます。二番目物の修羅は侍の幽霊で平家物語を取材したものが大半です。三番目物の女はシテの舞が見どころで「熊野」「松風」は米のめしと言われるほどポピュラーな出し物です。四番目物の狂は世阿弥が最も大事にしたもので一番多く、狂女の狂った舞は世の中の裏を知った特別な舞として見られます。
能を見ていると後戻りできない自分の人生をみているようで、鬼は鬼、神は神の人生を一生歩かないといけません。能は人間の本性をよく知っていると思います。そこが能を好きになったところです。
 
能の舞台のほとんどが京都ですので「能の中の京都めぐり」を企画し現場でお話を聞かせていただきたいと思いました。ありがとうございます。(記事 岸本幸子)
 
 
(事務局 岸本幸子)
 
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