活動内容

第51回研究発表会(13.7.4)

 第51回研究発表会(13.7.4)

◆日 時:平成25年7月4日午後1時10分~午後3時50分
◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階
◆研究発表:1. 「祇園祭・寄町と地ノ口米」芦田善雄 理事
       2.「『古事記』はおもしろい」堂園光子 会員
◆参加人数:37名
◆参加費 :300円   一般参加費 :500円
 
 第1部発表は芦田善雄理事で前回に引き続き祇園祭の行事編と寄町と地ノ口米です。今回もお祭り気分満載で祇園囃子のBGM付でした♪
7月1日の吉符入りと長刀鉾の稚児らが祭りの無事を祈願するお千度の儀からです。稚児と禿は一緒に南楼門をくぐります。稚児の衣装は振り袖とはかまの涼み衣装で、本殿の神事で稚児を務めることを報告します。今年の鉾一番は鶏鉾です。船鉾は神面の無事を確かめる「神面改め」の儀式が3日に行われます。室町中期に作られた本面と、江戸後期の写し面があります。17日の山鉾巡行では、写し面が使われ、本面は役員が持って鉾に乗ります。
 

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 長刀鉾の稚児は13日にお位もらい儀があります。神木のスギの葉をくるんだ杉守りが授与されこれを境に神の使いに変わります。明治時代以前、稚児は社参後に御所に挨拶に行っていたようです。12日の曳き初めは月鉾が1時、函谷鉾が2時、鶏鉾が2時30分、菊水鉾が3時、長刀鉾が3時30分-午後4時30分なので頑張れば曳き初めのハシゴができます。有名な南観音山のあばれ観音のはじまりは日和神楽で町内が空っぽになった後、残った若者が冗談で観音様を持ち出し騒いで町内を3周程走りまわったことのようです。それが今は恒例行事として大勢の見物人で賑わうようになりました。愛宕神社にお参りをするのは過去には何回も火災で鉾山が燃え無くなっています。このことから火伏の神の愛宕神社に参拝に行くようになりました。
 

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 山鉾町にとって重要な経済基盤であった寄町は鉾町のスポンサーのことです。1595ごろ豊臣秀吉が寄町制度を作ったように言われていますが、定かかではありません。お米やお金やお手伝いなどの協力を明治4まで続けられていました。北は二条通から南は五条、東は寺町、西は大宮までの約300町内が寄町になっていました。しかし綾傘鉾と蟷螂山は寄町がありません。特に定義はなく、山鉾に隣接していることや、同一の通りであることなどがあげられます。一つの町内が二つの山鉾を鉾管理していたところもあります。そして江戸時代以降は地ノ口米(銭)という課税がありました。
 

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地ノ口米とは家屋の間口の広さに応じて米や銭を町ごとに徴収して祇園会山鉾運営の費用に充てる制度です。臨時課税で祭礼や山鉾の修理に充て、巡行を行う上で大きな財政支援になっていたのです。もともとは米でしたがお金に代わってきました。山建てや山鉾巡行の時には寄町まで行って挨拶をする制度もありました。寄町制度が最も永く続いたのが鈴鹿山で明治4年まで存続していました。明治5年には寄町制度が廃止され鶏鉾や月鉾は経済的に無理があり鉾や町会所の売却などもありました。
現在は鉾は480万円、山は130万円程度の補助金が出ているようですが多くの人の協力で成り立っています。ありがとうございました。
 

 
 第2部は神様や歴史の事をよく御存じの堂園光子会員から古事記についてわかりやすくとても楽しい解説をしていただきました。
第二次世界大戦の前には古事記・日本書紀は政治家により悪用されたようで、侵略戦争を駆り立てるようなことに利用されていました。その反動で戦後は古事記・日本書紀を学校から追放され内容は教えられませんでした。しかしその古事記を読んでみると古事記が悪いのではなく戦前は悪用されたことがわかりました。内容はとてもおもしろい古典だと思います。
  

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 古事記の概略は上巻・中巻・下巻の3部構成になっています。上巻は天御中主(あめのみなかぬし)の神からウガヤフキアエズという神の話です。ウガヤフキアエズは神武天皇の父にあたり、ウガヤフキアエズまでが神様です。中巻は神様と人間の物語になります。カムヤマトイワレヒコは神武天皇で、神武天皇から応神天皇までの物語りです。下巻は仁徳天皇から推古天皇の人間ばかりのお話からなっています。今日の話は天と地ができた世界の始まりの天地開闢(てんちかいびゃく)から天の岩戸の話までです。古典としてのおもしろさを追求して文学的に読んでいきます。古事記の世界観は上が天の上で高天原、中が日本で葦原の中つ国で下が死の国、黄泉 (よみ) の国からなっています。
 

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 古事記を読むコツは307の多くの神様がいらっしゃいますが211の神様は一度登場した後、二度とでてきません。差引96の神様の内約30の神様だけを理解するとおもしろく読めます。神様の数の呼び方は柱です。古事記のスタートは天御中主の神からはじまりますが物語の中で最初の重要な神様はイザナキとイザナミです。この2柱の神から高天原の命令で国づくりが始まります。高天原と葦原の中つ国をつなぐ天浮橋 (あめのうきはし)で男性のイザナキから「あなたはなんと素敵な女性なんでしょうか」と言って生まれたのが日本列島でした。最初に生まれたのが淡路島、次が四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州の八島が最初に生成されたため、日本を大八島国(おおやしまのくに)と言います。
 

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 国土の次に神を生みました。物から化成する成れる神と、出産による生まれる神があります。そして最後に火の神カグツチを生みイザナミは死んでしまいます。カグツチは現在愛宕山に祀っています。寂しさのあまりイザナキは黄泉の国まで探しに行きイザナミを見つけましたが「覗かないで」というイザナキとの約束を守らなかったため連れて帰ることはできませんでした。日本の神道の基本は汚れと祓いです。早く禊をして祓います。イザナギは黄泉の汚れを払うため、禊ぎをしました。禊ぎの最後にイザナギが左目を洗うと天照大神が、右目を洗うと月読命が、鼻を洗うと須佐之男命が生まれました。須佐之男命が動くとストーリーは大きく展開していくエネルギーを持っている神です。古事記の上巻のテーマーは天照大神の子孫である天皇が日本を治めるという物語です。
 
 原文を読みながら現代語でわかりやすい説明で、剣には魔を祓う意味があることや、桃には霊力がある話から、纏向(まきむく)遺跡から神事に使われた桃の種が2700個程出て来たことに繋がり、ここではちょっと書けない爆笑する解説がありました。次回は須佐之男命のヤマタノオロチ退治や大国主命の 因幡の白うさぎ、ウミサチヒコ、ヤマサチヒコ、ヤマトタケルのおもしろい話に入っていきます。ありがとうございました。
 
(事務局 岸本幸子)
 
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