活動内容

第48回研究発表会(13.3.21)

 第48回研究発表会(13.3.21)

◆日 時:平成25年3月21日午後1時15分~午後4時
◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階
◆研究発表:1.『京都の知られざる人物2 中川四明 続編』都草会員 山本喜康
       2.『やすらい花と風流』都草会員 岡田英三郎
◆参加人数:20名
◆参加費 :300円   一般参加費 :500円
 
 第1部は山本喜康会員より前回お伝え出来なかった中川四明(しめい)の京都を詠んだ俳句集を解説していただきます。中川四明は1850年生まれでペリー来航の3年前の嘉永3年という時代背景です。所司代の与力の家柄でしたが与力の仕事は明治維新と共に失職してしまいました。中川四明はすぐに学問に志をむけ、現在の京都薬科大学の前進である欧学舎で学びました。
 

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そして教師になり多くの教科書も出版するようになりました。のちに日出新聞に小説を連載するようになりました。俳句に目覚めたのは40歳ぐらいからです。全体では3000程の俳句がありますが今回は京都に関係するものを700集めてきました。俳句を集めて大変だったのはふり仮名がうってないことや言葉の意味が理解できなかったことです。難解な語源を理解するのに何日も掛かり、各図書館の司書の方々の熱心な協力もあり今回の資料が完成しました。700ある俳句の一部をご紹介します。
 
 

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◆魚ん棚に鯛うつくしき二十日哉→ 二十日哉とは二十日正月・小正月とも言い正月用に用意した魚をこの日までに食べてしまう。という風習があったということが解ります。「魚ん棚」は六条通と椹木町通の堀川と千本の間のことです。
◆屠蘇匂ふお朝の物の使ひ人→ 「お朝の物」とは天皇が毎朝召し上がる食事のことで特に餅をいう。川端道喜が毎日2食の食物として2列に並べた6個の餅と粽などを献上していた。道喜はいつも褐色(かちいろ)の衣装を着ていたので天皇は「かちんはまだか」と叫ばれていたという。現在でも御所言葉でお餅のことを「おかちん」という。
 

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◆寒稽古千鳥の搏風(はくふう)武徳殿→ 岡崎にある武徳殿は武士出身である中川四明が武道の重要性を唱え知事に要望してできたものです。搏風とは羽ばたきの風という意味です。
◆春寒を鶴包丁の御儀ありて→ 正月17日(のちには19日)に清涼殿東庭(のちには小御所東庭)で幕府の将軍から献上した鶴を料理して天皇に供する儀です。豊臣秀吉が年始に鶴を献上したのが最初のようです。
◆知事殿の帽子撫でたる柳かな→ 中川四明が最初に詠んだ句です。府庁に勤務していたので北垣国道知事とも交流があったようです。
 
 以上ように言葉の持つ意味や歴史がわかる膨大な量の用語解説集も新たに作成していただきありがとうございました。
 
 

 
 第2部は岡田英三郎会員の『やすらい花と風流』です。第9回京都検定の3級の問題としても取り上げられました。有名なようで意外と知られていないお祭りです。やすらい祭りは三代奇祭の一つで京都検定では今宮神社の祭りになっています。間違いではありませんが正確ではありません。現在4ヵ所でされています。今宮神社、川上大神宮、玄武神社、の3つが4月の第2日曜日にあります。そして上賀茂神社は葵祭と同じ日の5月15日に行われています。やすらい花のお祭りを全て観るためには3年かかります。
 

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やすらい花に興味を持ったきっかけは京都造形芸術大学公開講義「日本芸能史」で取り上げられた“田原のカッコスリ”がやすらい祭りにそっくりだったことから、カッコスリはやすらい花が伝播したという仮定のもとに、調査を始めました。上杉本洛中洛外図にある祇園祭の綾傘鉾もよく似ていると思います。都林泉名所図会にある八幡安居の風流があります。やすらい花は宮中では鬼払いからきたと言われています。平安神宮では大儺之儀として復元されています。
 

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カッコスリとやすらい花を比べてみるとカッコスリには囃子方の鉦と武器の刀がありません。やすらい花を構成する重要なものとして赤熊・稚児・音頭取り・唄・風流傘・太鼓・刀などです。やすらい花の起源は平安末期の『百錬抄』久寿元年(1154)条にあり久寿元年以前から行われていたことがわかります。カッコスリの始まりは室町期と伝えられています。「田原のカッコスリ」が秋の収穫祭に催行され、「やすらい花」が疫病退散のために初夏に催行されているという季節の違いがあることも気になります。
 

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いずれも「風流囃し物」という祭りの形態に入ると理解されるので、全く関係がないともいえないのではないでしょうか。風流は幅が広く底の見えない分野のようで戸惑っています。
 
 YouTubeの動画を見ながらの説明で夫々の違いが一目瞭然でとてもわかりやすかったです。ありがとうございました。
 
(事務局 岸本幸子)
 
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