活動内容

わくわく倶楽部(フィールドワーク)千本通を歩く(其の3)(19.11.13)

わくわく倶楽部(フィールドワーク)千本通を歩く(其の3)

   日 時 : 2019年11月13日(水) 10時から12時
   参加者 : 20名
   経 路 : 西陣京極(千本中立売上ル)を東⇒土屋町通を南⇒下長者町通辺りまで⇔上長者町通を西⇒
         千本今出川

①山本喜康会員による千本通周辺のお話です。(西陣京極にて)


 ◇千本丸太町上ル東側に「カフェー天久」(大正12年創業)がありました。
  明治後期から大正初期にかけて、ビヤホール・ミルクホール・カフェーといった洋風の飲物を提供する店が続々と開業します。カフェーは、女給を置き、洋酒を提供する店で、現在のバーやクラブやスナックのようなものです。京都で最初に開店したカフェーは不詳ですが、大正9年、四条南座前に開店した菊水が有名です。1階はレストラン、2階をカフェーとし、3年後、四条寺町にも同様の店を開店し、大学教授・映画監督・作家などの社交場となっていました。昭和に入り大衆化し、カフェーは純喫茶とよばれる酒類を扱わない喫茶店へと変わっていきます。
 「カフェー天久」は昭和61(1986)年に閉店しましたが、岐阜県恵那市にある「日本大正村」に寄贈され、営業を続けています。
 ◇千本下立売下ル西側には、ジョン・ウェインが来店したという小林銃砲火薬店があります。


 ◇「東海道中膝栗毛七編 下編」に千本中立売の住人が登場します。
 ◇「千ブラ」とは、千本通をブラブラ散歩することで、夕食後などに、丸太町辺りから今出川辺りまでを家族連れで、ちょっと「千ブラしてこうか」とよく出かけられたそうです。映画館や芝居小屋などが十館ほどあり、中立売上ルの「西陣京極」の東西の狭い通りには店がひしめいていました。

    *西陣京極(商店街)
  明治後期~昭和初期は、千本通の中立売から今出川間。
  戦後は、土屋町通を中心として、西を千本通、東を浄福寺通、北を一条通、南を中立売通。
  現在は、千本通中立売上ル200m四方程度の飲食店街。

②土屋町通
 上京区の千本通一筋東の南北の通で、北は一条付近に始まり、南は竹屋町 通まで、中立売通以北は西陣京極として栄えました。通名の由来は、この辺りで土壁の材料になる良質の聚楽土が取れたことから。

③「清和園」(土屋町通中立売下ル西側丹波屋町尾崎家所有)の不思議な構造物
 こちらは別荘で、曾祖父の頃(明治か大正)に、ローマ帝国の「カラカラ浴場」を模して造られたと伝え聞いています。以前はもっと整理されていて趣きがあり、口から湯水を流すライオンの像もみられましたが、現在はかなり荒れ果て、立入禁止になっています。 (山本喜康会員)
   ☞わくわく倶楽部HP第1回をご覧下さい。                                

④上長者町通
 東は烏丸通、西は千本通までの東西の通り。
 聚楽第があった時代、この通りに両替商などの裕福な商人(長者)が住んでいたことに由来します。

⑤播州小野一柳(ひとつやなぎ)藩下屋敷表長屋(土屋町通上長者町通下長者町間の西側山王町)
 元治か慶応の頃に一柳氏が設けた下屋敷の表長屋の一部だろうといわれています。
こちらの小野藩最後の藩主一柳末徳の二男恵三は、NHK朝ドラ「あさが来た」の主人公広岡浅子の長女亀子の婿養子に迎えられ、加島銀行頭取・大同生命二代目社長・大阪電気軌道(現・近畿日本鉄道)初代社長を務めました。
末徳の三女満喜子は、明治42年アメリカのブリン・マー大学に留学し、帰国後、広岡家で建築家メレル・ヴォーリズと出会い結婚し、近江兄弟社の教育事業にその生涯を捧げました。

⑥正親学区 地図には載らない71ヶ所の路地・小路
 今春(2019年)、ヤマザクラ材の銘板に路地・小路名を記し、その下の部分に西陣織をあしらったアクリルプレート「織龜甲」が正親学区の71ヶ所に取付けられました。「織龜甲」は、非常時の通報や避難時に場所を特定しやすくするための「災害時通路銘板」で、各町内会がそれぞれの場所の特徴を活かしたユニークな路地・小路名をつけられています。
   *路地…通り抜けできない道  小路…通り抜けできる道

⑦かつて西陣京極にあった劇場(資料作成:野津 隆会員)


⑧千本今出川交差点北東の時計塔今昔
 覚えていますか?
 ここに昨年まで、ミヨシ堂(創業明治37年)時計店が建っていたことを…。
 昭和4年、市電開通に伴う道路の拡張による隅切りを受け、建替えられた洋館には時計塔が設けられ、長年街のシンボルとなっていました。建物は「京都を彩る建物や庭園」に認定されていましたが、老朽化により2018年3月に取り壊されてしまいました。
 しかし、2018年11月30日、時計塔を設けたセブンイレブン千本今出川店が開店しています。2階には『セブンなないろ保育園』(地方創生包括連携協定締結によりセブンイレブンが働きやすい環境づくりの一環として開園)その上層に時計が設置されています。

 「千本通を歩く」は、今回の千本今出川で終了です。
 わくわく散策中、常に目に入ってくるものは、石碑、民泊に変わった町家、レンタルスペースとなった大規模町家(商家)、建設中のホテルです。とにかく魅力あるものが無くなる前に,住人のお話も聞きながら記録を残し、記憶にとどめたいと思います。

 来年もよろしくお願いします。

(報告:藤川由美子会員)
(写真:熊谷喜輝)
(広報部:熊谷喜輝)

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