活動内容

わくわく倶楽部(フィールドワーク)千本通を歩く(其の2)(19.10.16)

わくわく倶楽部(フィールドワーク)千本通を歩く(其の2)

 日 時 : 2019年10月16日(水) 10時~12時
 参加者 : 23名
 経 路 : 内野児童公園(平安宮大極殿跡)~千本中立売交差点

①異体字について武富会員からのレクチャー
 武富会員から異体字についての詳しい解説が前回に続きありました。内容はPDFをご覧ください。



異体字について

 

 次に田村理事のお話
 明治28(1895)年の平安遷都千百年紀念祭にあたり、歴史学者の湯本文彦氏は平安京全域の実測調査を行い、大極殿の位置(中心部)をこの地に定め、京都市参事会が「大極殿遺趾」の石碑を建てられました。しかし近年の発掘調査で実際の大極殿の中心部は碑より50m南、千本丸太町交差点北西角に確定されています。

 なお石碑の北(裏)面の文字は、
        明治弐拾八年十月廿二日 京都市参事会建


熊谷副理事長と須田(清)理事に調べて頂きました。この文字は鳥跡文字という4500年前,中国の蒼頡(そうけつ)が地面に残っている鳥の足跡を見て考案した漢字が使われています。
 この石碑と副碑は、京都市参事会からの依頼を受け「嶋臺」(御池通東洞院西北角)11代目大師流の能書家山田永年氏が揮毫されたもので、「嶋臺」にはその返礼として贈られた石碑の拓本と平安京大極殿の礎石が残されています。                  

②善福寺の国内五本の指に入る如意輪観音菩薩(平安時代作)
 寛永5(1628)年8月18日に丹波の海中より光を放って出現した2躯の如意輪観音の1躯と伝えられています。残念ながらご開帳の予定はないそうです。


 もう1躯は上京区の回向院に安置されたと伝えられています(浄家寺鑑より)が、現在は奈良国立博物館に所蔵(重要文化財)されています。

③福勝寺 (山本喜康会員資料より)
 後西天皇が御所の左近の牡丹桜を分枝したという「九重桜」が有名だったが、昭和の初め頃に枯れてしまった。「桜寺」の名があった。
 今一つ「ひょうたん寺」とも云われ、秀吉が出陣のたび武運長久を祈願して旗印の千成瓢箪を奉納したことによる。
 又、この寺は「融通さん」とも云われ、商売人が金の廻りが良くなる事を願って、節分の日にのみ出る「宝珠尊融通御守」(10000円)を求め全国より前日から長蛇の列になり近辺はごった返す。
 墓地には、池田屋事件の発端となった古高俊太郎の分骨が納まる。

④平安宮 宴の松原(七番町)(山本喜康会員資料より)
 平安宮内裏の西、真言院の北に「宴の松原」と云う空地が用意されていた。三代実録、仁和3(887)年8月17日条に「縁ノ松原」とあり、縁に因んだ古歌がある「あわれにも今は限りと思ひしを まためぐりあふえんの松はら」 えんと呼んだことが知られる。
 内裏の宮内遷宮の建替地として用意されていた空地だったが平安時代を通じて、この場に建替えられた事実はなく、むしろ鬼物妖怪の出没する不気味な場所として怖がられていた。


⑤聚楽第の大名屋敷にまつわる町名
 稲葉町:稲葉氏の屋敷に由来
 福島町:福島正則の屋敷に由来
 一番町~七番町:秀吉の家来の長屋の番号(一番~七番)に由来
 二本松町:聚楽第の西外郭の水堀跡にあたる。この付近に二本の松があったことに由来(坊目誌)
 信濃町:鍋島「信濃守」勝茂の屋敷に由来


⑥すっぽん料理 大市(下長者町通千本西入ル六番町)
 元禄年間創業。すっぽん一筋に18代続く老舗で、店舗は340年前の創業時のものだそうです。 御一名様24500円(消費税・サービス料込)です。


⑦五番町遊郭(北新地・西陣新地)(五番町・四番町)
 五番町は、北野天満宮の近くに位置し、愛宕神社参拝の道筋にもあたったことから、享保年間(1716~1736)には茶屋が見られるようになり、その後茶屋株が許可されます。遊郭としての営業については、江戸時代を通して制限つきの許可と禁止が繰り返され、慶応3(1867)年、上納金を納めることで無期限の営業が許可されました。
 明治に入り五番町は京都府の管轄下となります。明治末期には、東西二組合に分かれ、東部を芸妓部、西部を娼妓部としますが、本来娼妓が主流の郭だったこともあり、昭和に入ると娼妓のみとなります。やがて昭和33(1958)年、売春防止法の施行により廃業を迎えることとなりました。
 水上勉の小説『五番町夕霧楼』の舞台になっています。


⑧千本日活(五番町)
 五番町遊郭組合事務所跡地に、昭和36(1961)年五番街東宝として開館。
 昨年9月4日、台風21号の強風でトタン屋根が吹き飛び、雨水で座席がぬれ、翌日から休館していましたが、修復工事が完了し今年の4月に営業を再開しています。
 千本通周辺には昭和30年代の最盛期に8館の映画館がありましたが、現在は千本日活のみになっています。唯一残る映画館「千本日活」の営業時間は正午から21時まで、入館料1階席(132席)600円、2階席(36席)700円となっています。値段が違うのですね? 千本通を歩く其の2はこちらで終了です。


 今回、参加者の方々が挙って、最初の武富会員の異体字の資料構成と、特に義妹さんの資料作成の巧みさを称賛されていました。ありがとうございました。

 次回は11月13日(水)10時から中立売周辺を散策します。面白い所がありましたらご紹介下さい。

(報告:藤川由美子会員)
(資料提供:武富幸治会員)
(写真:熊谷喜輝)
(広報部:熊谷喜輝)

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