活動内容

第35回研究発表会(11.12.13)

 第35回研究発表会(11.12.13) 

◆日 時:平成23年12月13日午後1時10分~午後4時

◆場 所:ひとまち交流館 京都 3階

◆研究発表:1.『ジョー岡田、波瀾万丈!82年分の話』都草会員 ジョー岡田

      2.『京都名水巡りー京都の名水の多様性―』都草会員 西謙造

◆参加人数:34名

◆参加費 :300円   一般参加費 :500円

 町を歩くと女性が振り向く御髪のジョー岡田さんは正真正銘の日本人で本名は岡田逸雄さんです。外人には「イツオ」と言うのは覚え辛くいようで「ジョー」は外国の友達から頂いた名前です。ガイドをした外国のお客様が自分の名前をあげるから「ジョー岡田」にしろ!ということで、それ以降は会社の名前も「ジョー岡田トラベルサービース」になり気分は半分外国人。日本中の人の中で一番大変な人生を過ごして来ましが、今日元気で都草会員の前でお話できることは嬉しいことです。と82年の人生のエピソードを語って頂きました。
普段は英語でのスピーチですが日本語でお話して頂きました。ジョー岡田さんの英語は独学です。敗戦時の中学3年生の時代までは、英語を習ってはいけない時代で当時は英語を話すと警察が調べにき、学校でも禁止でした。現在の自宅は昨年38.6℃と日本一の気温を記録した舞鶴から車で3時間をかけ、地道を走って来られました。高速を走らヂミチに行こう!ということです。(笑)でも人生はジミチではなくかなり飛んでいました。

「サムライショー」に使う軍刀は戦争中には尉官が帯刀する刀でした。鉄製で教育委員会に登録をしています。大根やリンゴを切ったりするのは練習刀で登録はいりません。竹等の硬い物は真剣でないと切れません。練習刀は5万円から10万円で軍刀も10万円位です。江戸時代の名刀は500万円から億、だそうです。

 

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 いよいよ軍刀を使ってのショーの始まりです。竹を切るのにアシスタントが必要という事で、最初の生贄は今井理事です。誰も持たずに立てた不安定な竹を切った後振り返り今井理事が支えている竹を、刀を振りおろしカットするという事です。以前ヨーロッパで行った時に親指を切ってしまい天井まで血が飛んだことがあるようです。その方とは親友になったようです(笑)今まで3300回して失敗は1回だけです。けっして動かないようにと言われ固まる今井理事。会場全員息をのむその瞬間、「エイ!」という大きな気合と共に無事かすり傷無くおわりました。(拍手)

 33年前から伏見桃山城で14年間外国人に1700回のサムライショーをしました。90分6000円の入場料でしたが、円高でつぶれました。250円が120円になり6000円だったショーが約12000円程になってしまったからです。そして今年は原発事故の為外人客が来なくなり英語を話すビジネスがゼロになり、現在も厳しい状態です。
次のショーは割り箸を8センチ間隔で5段に縦に並べ1本づつ止めて切る練習をした後は大根の3段切。そして江戸時代の警察官が持っていた振り下ろされた刀を止める、十手も登場し使い方を披露。
次は空中リンゴ切のアシスタントに小松さん・亀田さん・西さん・今井さん・深沢さんの5人が命懸けでお手伝いします。手の平の上に置いたリンゴをジョー岡田氏がほりあげ順番に切っていきます。間近で刀を振り回され腰が引ける会員達です。見事に5つともカットされました。

 

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カットされたリンゴは捨てると勿体ないのでジャムにします。空中リンゴ切はギネスの世界記録承認になっています。通常は25個のリンゴを並べ60秒の間に何個切るかに挑戦します。1個カットする度に刀をサヤに戻す、時間との闘いのようです。そして最後のショーは本当に恐いまな板の鯉です。ファイナルアシスタントの俊藤さんとは英語でのショーです。Now ladys & gentlemen I’m going cut this radish only his on his stomach.そして台の上に寝かされた俊藤さんのベルトの金具に大切な刀があたると刀に傷がつくのでベルトを外してください、とのこと。あ~怖い!Remove your Belt !! 両手は頭の下に、何が起こっても手は動かさないでください!!お腹の上に積み上げられた大根だけがカットできれば成功です。If I success I cut radish only !  If I not…
Runaway~!失敗したら逃げます。保険は?危険負担が多いから No Insurance !  大根も持って帰っておでんにします。Meatも入りますね~!と楽しい会話の後いよいよ息をのむ本番。「エイ!!」拍手喝采、Meatは無事でした(笑)

 

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 サムライショーの後はジョー岡田さんのトークショーです。自らアルツハイマーではなく「モルツハイマー」とおっしゃるようにお酒が大好きなようです。ガイドを始めてお客様と一緒に食事を楽しみ、飲むようになりました。自己主義者の「エイゴイスト」・・(英語を使うから)で納得できない事を今有る法律に変えたこともあります。1929年世界不況が始まった昭和4年生まれです。戦争も経験しその後は道路工夫などもしました。
神戸で仕事をしている時にアメリカの女の子が「ハロー」と言ってくれたのが、初めての英語体験で、英語の勉強をしようと思ったきっかけでした。ホテルの前で外人のお客さんを探し、車に乗せガイドをして英語の勉強をしました。日本で知り合ったアメリカ人にアメリカで仕事をすることを勧められアメリカに渡り英語と人前で話す事を学びました。日本でガイドの免許を取得し、伏見桃山城では都合13万人のお客さまを集めました。お琴・お茶・お華・結婚式の着付け・忍者・歌舞伎・京舞・空手・居合い等なんでもお見せしました。サムライショーはブラジル・シンガポール・香港・台湾・グアム・アメリカ等でしてきました。
 外国の方が京都に来られる一番の魅力についての質問には「日本人の生活しているところが見たい・自動車、ロボット産業の見学・サムライが見たい」の答えを頂きました。それと一般的に知られていない事を話できるようにしておくことです。長々した話はダメでチョットしたエピソードがグッドです。
観光に来て楽しませるのは案内人の役目。何に興味があるのか聞いてあげること、豊富な経験からのアドバイスが大切です。
多くの荷物を持参して頂きスリル満点のショーとタメになる観光案内アドバイスをありがとうございました。


 第2部は「京都名水巡り」について西謙造さんです。スピーチの前にAとBの2種類のコーヒーを会場の皆さまにお配りしていただきました。今までの研究発表で試飲があるのは初めてです。2種類は美味しいか不味いかではなく、硬水か軟水か?そして色を見比べ、味が濃い、薄い、わからない等を答えます。この皆さんの味覚の答えが京都の水についての研究結果に繋がります。少林寺拳法5段の西さんは「エイ!」と気合を入れて、水に興味を持った経緯をお話してくださいました。

 お寺・神社回りが好きでいろんなところで水を飲み比べ、味が違うことに最初に気がついた場所が伏見でした。スタンプラリーで1日に何軒か回るとお猪口が貰えるというものがありました。続けて飲むと水の味のちがいが分かります。その時に水についての研究をしてみようと思いました。そして半年で120ヶ所の京都の井戸を回りました。お寺を回ることは京都検定もあり興味があったのでできました。

 

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京都の水は軟水です。日本の水の硬度の基準は、100以下は軟水で、八坂神社30、御香宮神社70の硬度で軟水の中にも特徴があります。昔の京都は海で大阪湾の海水が入りこんでいました。砂と泥の層が積み重なりできたのが京都盆地です。砂には水が溜まりそこが水脈になります。巨椋池から丸太町までは海があったことがわかります。上賀茂神社に行くと岩上に海上安全の小さい祠があります。なぜこんな所に海の祠があるのかなぁ。ここまで海が来ていたのかなぁ、と水系図を見ていて感じます。大山崎から淀川に流れていく所にサントリーの工場があるのもうなずけるし、伏見の酒蔵あたりも水が豊かで、海上交通もありお酒を運び出すにも便利な所です。そんな所には深さが5mから10mの井戸があります。御所近くのの麩屋町夷川通あたりに住んでいる友人宅では10mの井戸水を飲んでいます。御所の南から御池通りあたりで昔からお住まいの方は井戸水を飲んでいらっしゃいます。保健所からは飲まないで欲しいと言われているそうです。銅駝中学の後にある名水の地下水と書いてあるお水を一杯飲んだら美味しかったですが二杯飲んだらお腹が痛くなってきました。生水は悪くはないけれどお腹に合わないこともあり慣れが必要です。伏見の酒蔵は100m程の深い井戸水をくみ上げています。水は酸素と水素からできていてそれぞれ軽い重いがあります。

 

 

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 平安時代より貴族は自分の池を持つことがステイタスだったようです。水脈に沿って高陽院などの貴族の家があり、賀茂川、高野川、天神川の近くには御所、二条城があり泉町の町名も残っています。神泉苑の前は御池通と水に関係する地名が残っています。今でも錦市場や醒ヶ井四条の亀屋良長には「ご自由にお水をどうぞ」とあります。平成21年度の571件の「災害時協力井戸制度」の分布図を見ると二条城の東に集中しています。その分布は下鴨神社から下がってきて二条城の横を通って東寺に流れて行きます。東寺も湧水があり洛南高校の先生が「体育館の下から水が売るほど出てくる」とおっしゃっています。「頭の良くなる水」のキャッチフレーズで売れそうですね。今まで31か所の井戸水を飲みました。行列のできるところ以外で飲むのは抵抗があるものもありました。○○大神宮の若水という瓶に入った水は飲める水ということですが、何かが浮いていて気持ち悪いと思うものにも研究家とて挑みました。その結果分かったことの一つが水温です。温度計を持ち歩き手水鉢に溜まった水なども調べ歩きました。井戸水は17℃ですので飲んだ時に温く感じるものは怪しいです。そしてマグネシュウム・カルシュウムが1ℓにどれだけ入っているかが、硬度になってきます。
今日のAのコーヒーは御所の染井の水です。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度60までが軟水、60~120が中硬水、それ以上が硬水です。硬度50前後がまろやかに感じ美味しいと感じるようです。蹴上浄水場の所長の話では京都の飲める水道水は硬度40で、WHO基準で作っています。1日2ℓの水を生涯80年飲んでも発癌性はない。塩素消毒することによって発生するトリハロメタンなどもあるので、どうしても気になる方は煮沸して飲んでください、とのことでした。京都市は災害用の水としてペットボトルに入れ宮城へ送ったりもしました。塩素を抜いた美味しい「疏水物語」という1本100円の水です。電話で注文を受け付け配達料無料で持ってきてもらえます。生産している場所を見ると兵庫県なのが不思議ですが美味しいので深く突っ込みません(笑)。

 

 

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下御霊、染井、柳の井は40~60です。八坂神社は40を切ります。松尾大社と御香水は70~80。ナトリウム、マグネシュウム、カルシュウムのバランスを見ると下御霊は水道水かなぁ?と思うほど成分バランスが同じです。ナトリウムの多い八坂神社の水で出汁をとると美味しいです。ミシュランで三ツ星を獲得した菊の井さんは下河原の水を東京店に送っているという話も聞きました。3つの成分が高い御香水はお酒を発酵するのに適している水です。灘の酒は硬度が120有り発酵が早く辛口のお酒ができます。月桂冠は甘いお酒ができます。
梨木神社の染井の水を飲んですぐに白雲神社を飲むと味の違いがわかります。白雲神社の水は上賀茂から来ていて、梨木神社は東山から来ています。かつお出汁は八坂が美味しく、こぶ出汁も甘みを感じます。しかしコーヒーを入れると酸味が立ちます。御香宮の水ではコーヒーは味がぼやけ、後味はスッキリです。
最初に戻りAは梨木神社、Bはエビアンで硬度304です。裏千家の茶道資料館の学芸員の方に聞いた時もエビアンでお抹茶を立てると上手くいかず、井戸の水は美味しく頂ける。裏千家は賀茂川にも近く良い水があったことも関係しているようです。ナトリウムが多いと塩味に反映してくるようです。

 以上のお話から料理の味を究めるにはまず水からという事がよくわかりました。皆さんも並べて一気に飲み比べをしてみて下さい。美味しいお節料理作りの参考にしてみたいと思います。今年一年を括る素晴らしい研究発表をありがとうございました。

(事務局 岸本幸子)

 

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